「巷説」シリーズも五作目。
今回は、舞台を大阪に移しての物語です。
主人公は、靄船の林蔵です。
月の魔性を扱った「桂男」、死人の供養を怠るとどううなるかという「遺言幽霊 水乞幽霊」、狼の血を引く刀匠を扱った「鍛冶が婆」、夜の楽屋の人形争い「夜楽屋」、骸に踊らされた庄屋の凶行「溝出」、赤子を育てた豆狸「豆狸」、そして奸計を巡らし自分の首を絞めることになった「野狐」の7作品が収められています。
このシリーズの魅力は、何と言っても摩訶不思議な世界の様に見えながら、人間の「業」を見事に描ききっているところでしょう。
しかも、そこに登場するキャラクターが魅力的です。
そのあたりが、どちらかと言うと暗くなりそうな話を、それほどでもなくさせている大きな要因でしょう。
どの一編を取り上げても読みごたえのある面白い話ばかりです。
流石「京極ワールド」。素晴らしいです。