これほど面白い歴史書は久しぶりに読んだ。
例えば、西太后が宮中に入る「選秀女」の描写など、「後宮小説」を彷彿とさせる面白さ。人間ドラマを描いてページをめくる手を止めさせない面白さとともに、清朝という高度に発達した政治システムが非常に洗練された后妃選考システムを持っていたという「忘れられた歴史」を摘示するという歴史書としての役割もきちんと果たしている。
特に、中国の最高権力者が権力の集中を避けるために、有力な部下を失脚させては復活させるという「手法」を西太后が確立したという指摘は新鮮だった。著者は、毛沢東による小平の失脚-復活の繰り返しは、西太后が用いたものとまったく同じ手法であると指摘している。
歴史を学ぶ楽しみは、歴史を知ることで現在が見えてくることである。そういう意味で、本書は現代中国を理解する手がかりを豊富に与えてくれる。
面白くて役に立つ、絶対のお勧め本である。