第一巻はサイバラよりさらに不器用な(または年齢的に枯れた)漫画家との勝負が多く、対戦相手の絵とサイバラの絵を一緒に笑ってもらおうという形であったが、第二巻では、浦沢を筆頭として画力が上回る相手との対戦がほとんどで、対戦相手の絵に感心しつつサイバラはサイバラの道を行って笑いを取ろうとするスタイルが多くなっている感じがした。その中で、最後に出てくる若杉公徳だけは、第一巻の福本伸行を上回る超絶的な不器用さ(なにせ、木村カエラを描いてもクラウザーさんになる)を発揮していたのが異色だった。
ネットで検索してみると、対戦時の動画(抜粋)や観覧者のブログなどがけっこう出てくるが、比較してみると、本のほうではお題の順序変更や一部省略がかなりあることが分かる。サイバラが作者としてかなりの再構成をしているわけで、いくつかの過激発言の中には雑誌掲載時に誇張したり追加したりしたものも多かろう。第一巻のレビューで、素材の味を殺しているという評者がおられたが、たしかにそういう面も否定はできない。一方で、素材のままで数回分を一冊にまとめてしまうと単調になりかねないところをサイバラの毒で補っているという面もある。サイバラ漫画が性に合わない読者の場合、添加物が多すぎると感じることもあるだろうが、対戦相手のうち誰かのファンであれば、読んで損はないのではないか。
個々のお絵描きでの見所の一つは、自作等での本領発揮の絵や笑える失敗作ももちろんのことながら、オリジナルとも対戦者本人の画風とも違う意外性のある産物が出てくるところにもあると思う。松本零士のなぜかジブリ風味のサザエさんとか、竹宮惠子のケンシロウなどがその典型。他方、本人の画風の延長でヒットだと思ったのは、吉田戦車が描いた、かわうそくんを可愛くしたようなリラックマ。秀才高校生カッブルのような竹宮惠子のスネ夫&静香、スターシャ・サーシャの線で押し切った松本零士の叶姉妹などもちょっと面白かった。
なお、竹宮惠子の回でサイバラの描いたディカプリオはあんまりな感じであったが、実は本人の最近の写真にはむしろサイバラ画のほうが似ていなくもないようだ。
江口寿史が「オール4の男」と評した浦沢直樹は、出来映えが安定しすぎて意外性には欠けるきらいがあり、ここは素直にホーホーとフクロウのように感心しながら、サイバラの突っ込みの部分を楽しむ必要があろう。
サイバラいうところの「少女漫画ころび」の猫漫画コンビ(須藤真澄・くるねこ大和)は、本巻の対戦相手の中では一番知名度が低いかと思うが、少女漫画出身者らしいさすがの上手さ。写真が出てないのを残念がるレビュアーがいらっしゃったが、観覧者のブログによれば彼女らの回は「写真撮影ご遠慮願います」だった由で、どちらか(または両方)が顔出ししない主義なのかと思われる。