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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
密林の人々への思い,
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レビュー対象商品: 西南シルクロードは密林に消える (単行本)
「ビルマ・アヘン王国潜入記」でビルマのゲリラと生活を共にした著者の新たなるビルマものである。今回は長途の行軍である。中国からインドまで主にカチンとナガというゲリラの力を借りて陸路で旅をする冒険行。今回もまた並人にはできない体験の連続である。ビルマの辺境山中のゲリラ、カチン。 そこはかとなくほのぼのとした雰囲気が感じられる交流の数々である。勿論、中国国境越えやジャングル行軍など危険や苦労は山のように襲いかかってくるが、「なんとかなるさ」というような空気も漂う。カチンの人々のメンタリティの表れであろうか。著者も苦難をともにするうちに親密感や連帯感を感じるようになる。 かたやナガではまた別のかたちの反政府ゲリラのあり方を見ることになる。 ビルのナガとインドのナガは殆ど別の存在である。前世紀の存在ともいえるビルマのナガと今世紀の影響を強く受けるインドのナガ。ゲリラのあり方にすらそれぞれの国力が反映しているとは驚きである。ゲリラの内部闘争やインド政府との関係など、未開の部族といわれるナガの方がカチンよりよほど現代の情勢と強く関連しているのは意外の感がある。著者はナガの人々にも世話になり、交流はするがカチン程の親密さは感じていないようである。やはり苦労を共にしたという印象が薄いからであろうか。 本書の題名は「西南シルクロードは密林に消える」である。ページを進めるうちに次第に西南シルクロードについての記述は減ってくるのであるが、題名はあえて西南シルクロードと冠している。ではどこにどのように消えたのか。エピローグに語られる題名にかけた思いはなかなかしゃれたものである。
13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
幾つもの出会いと別れ、そして落ち,
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レビュー対象商品: 西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫) (文庫)
この作品は高野氏の作家人生を象徴しているようだ。最近、拙レビューで高野氏の偉業を称え、「マリアナ海溝の最深部にトンネルを掘るようなディープでアレな偉業」と書いた。 その偉業に臨む事は困難と見られ、デビュー後20年たつも、未だその後を追う者は現れない。高野氏の前に道は無く、高野氏が切開いた道はいずれまた密林に埋もれ行く運命のようである。 さて、本書の出だしだが、歳のせいか、高野氏ややうん蓄が増えた気がする。しかし心配ご無用、国境を超えればいつもの通り。元々ひびだらけの計画はあっさり砕け散り、そのあとに筋書きの無いドラマが始まる。 ストーリーを盛上げるバイプレイヤーも多彩である。本書の場合、多くの方々がバケツリレーのように高野氏を送り続けるため、出演者も途中で代わり続ける。 その中でも、英語に堪能なエリート軍曹ゾウ・リップ氏は通訳として一番長く高野氏と同行する。彼は一見堅物に見えて“ナッ”(精霊)が絡むと結構味のあるセリフを吐く。 その他の主な登場人物を以下にあげる。 ・ 驚嘆するような行軍を無邪気に語る、夢見る女性ゲリラのカン・プンさん。 ・ 高野氏の危機をホラでかわし、駄目ならさらに大きなホラを吹き、それでも駄目なら…中略…、遂に高野氏を窮地から救出したラ・セン中尉。 ・ 巨体に似合わぬ忍び足で、しかも人間よりゆっくりと高野氏を運ぶゾウ。 ・ 齢30にして既に軍歴十うん年、枯れた味わいながら、食料調達では歴戦の猛者ぶりを発揮するトン・ノン少尉。 ・ 酒と女が大好きで、人間としては尊敬出来ないが、男としては崇め奉ってしまうエピキュリ大尉。 ・ そして、巧みなバケツリレーで国境を越え、高野氏をカルカッタまで送り届けるナガの人々。 幾つもの出会いと分かれ、そして涙の再会。このまま感動的なハッピーエンドに向うかと思わせつつ、そうは行かないのは皆様の御想像の通りである。
15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
作ろうとしても作れない、体験のすごさ!,
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レビュー対象商品: 西南シルクロードは密林に消える (単行本)
「もうひとつのシルクロード」という歴史と文化とロマンの香りあふれるドキュメント・・・ではまったくないところが面白い。あくまでも人間臭い登場人物たち。小説で書こうとしても作り出せないような奇想天外な出来事の連続。筆者の旅は、汗と泥と疲労と徒労に満ちている。でも、それにもかかわらず、どこかあたたかくゆるやかでたのしい気配が漂う。身体と感情の丸ごとの交流を通して、癒し(=流行の気持ちいい「癒し」ではなく)と再生の旅となったことが伝わってきた。 カチン族、ナガランドなど、知らなかった人たちや土地が、息づいて生々しく感じられ、自分も旅をした気分になった。
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