NHKの『週刊ブックレビュー』で紹介され、評者全員が高評価だったうえ
「これ、前の話があるんですよね」
「そっちから読みたかったな」
と盛り上がっていたので、それならと著者の江戸を舞台にした作品を何冊か読んでから
『幕末あどれさん』に始まるこのシリーズに取り掛かり、とうとうこの完結編に。
その順番で読んでよかったです。
他シリーズの並木拍子郎と同じ境遇なのに、こちらの宗八郎の背負うものはひどく重い。
まずそのことから「ほんの少し生まれる時期が違うだけでこれほどの差があるとは」と
今の日本の若者たちの苦しみと重ね合わせて読むことができました。
江戸が終わり、明治が始まる。
予想外の出来事に右往左往する幕臣やその家族、江戸の人々。
官軍側にいながら武士というアイデンテティを否定され反乱をおこす人々。
近代日本の歩みの影に、埋もれて消えて行った多くの名もない人生。
混乱期にうまくやれる人は一握り、大半は負け組になるのだ、と
今の日本に生きるものとして苦いものも感じましたが、それでも
思いもよらぬ運命に翻弄され、大切なものを失い、深く傷つき、絶望しても、
人は生きていかなければならない。
歴史はそうして続いてきたんだということにあらためて思い至ります。
まとまったお休みが取れたら、ぜひ
『幕末あどれさん』から『銀座開花おもかげ草紙』シリーズ三部作まで四冊、
一気読みをおすすめします。