この書籍は、我々「先進国」が「発展途上国」と言われる国々に対して実施する開発援助のあり方、技術協力のあり方を問いただす。
世界最貧国と言われるニジェール(石油が取れる、日本には多少なじみのある国、ナイジェリアの北に位置する)。国民の半分以上が、読み書きができないと言われ、また、国土の3分の2がサハラ砂漠で埋め尽くされ、農作物の収穫も容易でなく、食糧飢饉が頻繁に起きる、そんな国である。ついでに言えば、宗教の影響からか、女性の社会進出も非常に遅れている。そんな国で、長年にわたってアフリカの開発支援に携わってきた筆者が、我々の「常識」を覆すようなプロジェクトを開始した。
貧しいながらも親や地域住民が金銭や労働力を提供して、子供たちのために学習環境を改善する取り組みを支援するプロジェクトがあるという。そんなことありえない、半信半疑で読み始めたが、読むうちに何となく納得がいった。貧しくとも、なんとか子供たちに教育を受けさせたいと切に願う親の思いは万国共通である。その思いをいかにしてくみ取り、形にするか、筆者は考え続けたに違いない。その結果生まれたのがこのプロジェクトである。
公式には「教育」のプロジェクトである。プロジェクトが尊重する「住民参画」「情報の透明性、決定プロセスの透明性」は、民主的社会の前提条件とも言え、もはや教育の枠を超えたプロジェクトではないだろうか。
「漁師に取った魚を与えるのではなく、網を与え、魚の取り方を教えろ」そんな一文を聞いたことがある。そう、人々が本当に必要なのは、助けを待たずとも、自分たちだけで問題を解決できる能力である。
開発援助関係者だけでなく、アフリカに関心がある人にもぜひ読んでいただきたい、お勧めの1冊である。