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襤褸の旗 松下政経塾の研究
 
 

襤褸の旗 松下政経塾の研究 [単行本]

出井康博
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

野田、前原、玄葉、樽床…国会議員38名、地方首長11名。国民はなぜ彼らに期待し、そして幻滅したのか?
中田宏を“殺した”男が、ベストセラー『政治家の殺し方』を大批判。
成り上がりと裏切りの「野望の王国」がふりまいてきた“平成維新幻想”の終焉を活写する。
第一人者のジャーナリストが、13年にわたる取材の成果のすべてを書いた、政経塾32年の真実!

内容(「BOOK」データベースより)

中田宏を“殺した”男が、ベストセラー『政治家の殺し方』を大批判。「野望の王国」が夢見た“平成維新幻想”の終焉を活写する。野田、前原、玄葉、樽床、中田…国会議員38名、地方首長11名。野望、成り上がり、裏切りの32年。“塾”取材13年の第一人者が、すべてを書いた。

登録情報

  • 単行本: 352ページ
  • 出版社: 飛鳥新社 (2012/2/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4864101337
  • ISBN-13: 978-4864101332
  • 発売日: 2012/2/11
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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 もう何年も前だが、小さな新聞社の記者として永田町の取材をしていたことがある。
 豪快な人たらしあり、恐喝王のごとき悪漢ありで、「政治家というのはやはり怪物だ」と感じさせられ続けた日々だった。しかし松下政経塾OBの政治家たちというのは、実に「普通の人たち」だった。これは褒め言葉として言っている。政経塾OBの政治家には、変にこちらを恫喝することも、おだてあげることもなく、庶民感覚に通じ、記者と同じ目線で語らってくれる人が多かった。率直に言って、私の中の政経塾OBの印象は結構よかった。
 しかし「政経塾取材のプロ」として、同塾に張り付き続けてきた著者による本書を読んだ後、私は自分の甘さと、そして著者の洞察の深さをしみじみと感じさせられた。
 本書は松下政経塾の「政治家養成塾」としての内容には多くの問題点があり、そのOB政治家には改革を成し遂げられるような人物は少ないと批判するものだ。ようするに政界の暗部をえぐるルポものだが、田中角栄の金と女を追った『寂しき越山会の女王』(児玉隆也)や、部落差別問題とともに生きた野中広務の素顔に迫る『野中広務 差別と権力』(魚住昭)などの同ジャンルの名著に比し、その内容は全然生々しくない。本書の中には、数億円の金が動く話や、何かの利権構造をつくり上げていくような、「壮大な悪」の物語はまったく出てこない。
 しかしこれこそが「政経塾OBの本質」なのだ。彼らは結局、政経塾で「養成」されてでてきた存在に過ぎない。「政治家になる」ということが目的化してしまった存在で、「この国をいい方向に変えたい」といった大志どころか、「利権をつくって金を貯めこみたい」という野心さえないのだ。「悪」にさえなれない、ブロイラー的に養成された「政治ごっこ集団」、それが松下政経塾OBという存在なのだと、本書は示唆しているように私は感じた。
 人は好き好んで「怪物」になるわけではあるまい。好きで人を恫喝したり、たらしこんだりするような者もおるまい。人がそこまでするのは、何か猛烈に成し遂げたい大志、野望があるからだ。しかしまともな社会人経験さえなく、ただ「政治家になりたい」というだけの心で複数の政党を渡り歩いているような政経塾OBに、大志、野望を見出すことは困難である。それが「怪物になりきれない普通の人々」で、彼らが終わっている原因である。
 しかしそうした本書の批判を、読む者はわが身に引きつけて考える必要がある。大局に立つパワーゲーム・プレーヤーたる政治家たちに執拗に「庶民感覚」を求め、漢字の読み間違いや、その通う飲み屋の値段などをあげつらい、「彼らは“普通”ではない」と「怪物」の特性をそぎ落としていったマスコミ報道に喝采を送り、テレビ映えのする「普通の人」、つまり政経塾OBに票を投じて彼らを永田町に送り込んでいった力は何なのか。それは読者一人ひとりが持つ票だったのである。
 確かに庶民感覚は大事だろう。しかしメディアや有権者があまりに政治家にそれを求めすぎた結果、「巨悪」ではないにしても、何の中身もない「普通の人」が、遂に首相にまでなる事態になってしまったのである。これを日本人はよく考えねばなるまい。
 政経塾OBに、具体的にどう中身がないのか、そしてそれをどう考えるべきなのかの答えは、本書にある程度までは記されている。しかしそれを超えて考えるのは、本書を閉じ、メディアの喧騒からも距離を取って、国民の一人ひとりが胸に手を置きながらなすことである。
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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
秀作。本書は松下政経塾や野田首相を始めとする塾出身の政治家に対し非常に辛口の評価を下しているが、豊富な取材に裏付けされているだけに、その批判も具体的で説得力がある。同じ著者が以前書いた『松下政経塾とは何か』と内容が重複しているところもかなりあるが、さらに取材を重ねたことで一段と内容に深みが増している印象だ。政治家も芸能人と同様、テレビカメラの回っているところとそうでないところでは態度ががらりと変わる人がいるが、この本はまさにテレビを通してはわからない政治家の「本性」に迫っているように見える。野田首相がなぜ首相になれたのか、また首相としてなぜパッとしないのか、この本を読んで納得した。中田前横浜市長への反論、批判の部分もとても面白い。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ここ数年海外に生活し外から日本を見ていると、この先一体日本はどうなってしまうのだろうかと、憂慮に堪えない状況が続いている。経済の停滞、少子高齢化に象徴される社会構造問題、円高による海外競争力の弱体化(エルピーダも残念な結果になったが、海外にいると中国や韓国の元気ばかりが目に付く)、破綻目前の財政・・・明るい話題がほとんどない祖国ニッポンという感じがしてならない。

こういった状況を解決するのが政治の役割であるはずなのに、その政治が一番怪しい。今までは日本経済は先進国のレベルであったが、政治は発展途上国以下のレベルだったし、今もその流れは変わっていない。

この力作は、そんな自分の政治に対する印象をさらに強くするものであった。長年の取材に裏付けられたこのドキュメンタリーを読むと、今国をリードしていこうとしている政治家に憂国の士たる志を持った人が全くいないことが良くわかる。TVで見る顔と素顔の大きなギャップに我々は騙されてはいけない。当時少しは期待した政権交代も、鳩・管で化けの皮がはがれ、もう後がない。

そこに松下政経塾出身者が首相として突如出現したわけだが、この本を読むと、今や当初の憂国の政治家を育成する目的から大きく外れ、政治屋養成機関と成り下がってしまった松下政経塾の出身者が大きな権力を持っていることに、薄ら寒ささえ覚える。

日本の将来は暗澹としている。海外にいるとそれこそ日本沈没が日々現実に近づきつつあることを実感する。体制に対していろいろな角度からその本質を問いただそうとする著者のスタンスは、選挙民に対する大きな警鐘でもある。
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