(日経バイト 2005/05/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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「複雑ネットワークって何でしょう?」という方は、この本から手始めに読まれても安心して読めます。バラバシの本(「新ネットワーク思考」)はアルバート・バラバシ達のsmall worldモデル("貴族主義的モデル":成長する複雑ネットワークで、ハブ(コネクター)の存在が特徴)に思い入れがあるように読めますし、ワッツの本(「スモールワールド・ネットワーク」)はワッツ・ストロガッツのsmall worldモデル("平等主義的モデル":規則的ネットワークにランダムネットワーク的なバイパスを追加するのが特徴)に思い入れがあるように読めます。(そりゃ、自身のモデルに拘りがあるのは研究者として当然ですが) そういう意味では、このブキャナンの本は、ある意味、両者のモデルを客観的に眺める余裕が感じられ、両方を分け隔てなく説明しているように読めました。
僕としては、既にバラバシの本等を読んだこともあり、結構重複が多いと思った処もありましたが、バラバシ型の成長する複雑ネットワークモデルが、ワッツ型の静的な複雑ネットワークに移行する可能性を論じた箇所など、バラバシとは違ったメッセージを受け取る箇所も結構あり、参考になりました。
本書の最後には、引用文献はちゃんと引用され、注釈もキチンと和訳されているので、より進んだ勉強の際に参考になると思います。
人間のつながり方というのは、ランダムでも、規則的でもなくて、その中間的なかたちをとっている。当たり前。けど、それっていうのはいろいろなところで見られるものらしい。河とその支流、蛍の同時発光、電力系統、脳の仕組み、インターネット、富の分配、エイズの広がり、生態系、、、とか。どれもこれも、複雑そうに見えるものばかり。数学的に言うと、どれにも「べき乗則」というが見られて、例えばインターネットのウェブサイトで言うと、「リンク数が二倍になると、そのリンク数を持つウェブサイト数は五分の一になる」。あと、「資産規模が二倍になると、対応する資産家の人数は一定割合(二分の一とか)で減る」とか。で、こういう研究をしているのはほとんど数学者か物理学者なんだって。社会学とか生態学とか経済学とかとごちゃまぜになっていく感じがなんとなく心地よい。
ニューロンのはたらきが分かれば、脳のはたらきが分かるわけではない。水分子の構造が分かれば、水のことが分かるわけではない。あたりまえ。で、改めて、いろいろな要素間にある「関係」ということが、何かについて考えるときに重要だということが、分かる。
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