「名著」という評価が定着しつつあるようです。
多くないページ数の中で、複素関数の基礎が簡潔に美しく述べられています。
内容の取捨選択や配列も、わかりやすさ・明快さを最優先しているように思われます。
さらにひとつ、重要な特徴があります。
ゼータ関数(とコタンジェントのベキ級数展開、部分分数展開、ベルヌーイ数)。
テータ関数(とヤコビの3重積公式やオイラーの公式、加法定理)。
超幾何関数(と複素領域上の線形微分方程式、モノドロミー)。
これらは単なる「例」として出ているのではないでしょう。
このような解析関数の個性的な面白さを伝えることも、本書の狙いのひとつなのだと思います。
もちろん「複素関数の一般論への入門書」ですが、「解析関数の個性探求への入門書」という性格もあわせ持つ。
そういう拡がり・奥行きのある本です。