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複合戦争と総力戦の断層―日本にとっての第一次世界大戦 (レクチャー第一次世界大戦を考える)
 
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複合戦争と総力戦の断層―日本にとっての第一次世界大戦 (レクチャー第一次世界大戦を考える) [単行本]

山室 信一
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

青島で太平洋で地中海で戦い、さらには氷雪のシベリア、樺太へ。中国問題を軸として展開する熾烈なる三つの外交戦。これら五つの複合戦争の実相とそこに萌した次なる戦争の意義を問う!遠き戦火、認識の空白をいま解き明かす。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

山室 信一
1951年、熊本生まれ。東京大学法学部卒業。衆議院法制局参事、東京大学社会科学研究所助手、東北大学助教授などを経て、京都大学人文科学研究所教授。法学博士。専攻は法政思想連鎖史。著書に『法制官僚の時代―国家の設計と知の歴程』(木鐸社、1984、毎日出版文化賞)、『キメラ―満洲国の肖像』(中公新書、1993、吉野作造賞/増補版、2004)、『思想課題としてのアジア―基軸・連鎖・投企』(岩波書店、2001、アジア・太平洋賞特別賞)、『憲法9条の思想水脈』(朝日選書、2007、司馬遼太郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 174ページ
  • 出版社: 人文書院 (2011/01)
  • ISBN-10: 4409511130
  • ISBN-13: 978-4409511138
  • 発売日: 2011/01
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.2 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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 初めての投稿なので、少しびびっています。間違いがあったらお許しください。
 
 まず、今更、何で第一次世界大戦なんだろうか、と思いました。しかし、大正時代の同時代の尖端の知識人にとっても、殆ど意識されていなかった指摘の導入部分から、本書はスリリングな展開になっていきます。その一人、三木清の同時代観が、後半に戦後にドイツ留学後に総力戦の意味を解き明かす伏線として据えられていて鮮やかに印象づけられます。
 そして、最後になって、複合戦争と総力戦の断層ーという本書のタイトルの意味が説き明かされていますが、この部分だけでも十分に1冊の本になるくらいに充実しています。

 しかし、そもそも世界大戦や総力戦という言葉が、日本人によって作られた言葉だった、ということはこの本で初めて知りました。どなたか、そういう史実を指摘された方はあるのでしょうか。

 しかも、それが第一次日米戦争の予感と表裏の関係であったことなど思いもしませんでした。そこでは架空日米戦記などの当時の国民心理を反映したものであることが発掘されていて、小説のタイトルの図版なども興味深いものでした。いえ、その図だけでなく、この本のカバーから始まって今まで見たこともないような図版や写真だけをしげしげと見ているだけでも、なんだかその時代にタイムスリップしたような気分になります。

 また、学校では「大正時代の天佑」だとしか習わなかった、日本が参戦した意図なども、決定に係わったそれぞれの個性溢れる政治家・外交官たちのせめぎ合いがあったことが良くわかりました。また、この戦争が日独戦争だけでなく、参戦をめぐるイギリスとの外交戦、さらに参戦後にも日本と中国そしてアメリカの三つ巴の激しい外交戦が繰り広げられていたことも、豊富な史料によって極めて明快に書かれています。
 歴史研究の醍醐味、ここに至れり!というのが実感です。

 さらにさらに、日本のシベリア出兵についてはロシア革命を弾圧するためだと歴史の授業では教わっていたはずですが、その歴史的意味も、この本では四つの出兵として解読されています。そして、それぞれの出兵の意図がドイツやアメリカとの対抗や朝鮮統治、満州・ザバイカルへの進出、石油の確保などと密接に絡み合っていたこと等々、本書で初めて知った事実で、まさに圧巻でした。
 そして、北樺太出兵を考慮すれば、日本の第一次世界大戦の期間は、何とほぼ11年にも及んでいたことなど、全く虚を突かれた思いでした。

 私自身、多少は歴史書に親しんできていたつもりだったのですが、第一次世界大戦という世界的出来事について、実は何一つ知ってはいなかった、ということを本書で教えて貰ったように思います。

 こうした歴史認識における空白を埋めていくことは、学校ではとても教えてくれませんから、一人ひとりがやらなければならないことなのでしょうが、どうしても自分だけは知っている、と思い込みがちなだけに、反省を込めて、こうした事実に向かい合っていきたいものだと思った次第です。 
 読み終わるのが惜しいような本です。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 私たちは、いったい歴史についていかなることをどのように知っているのだろうか。この初歩的で最終的な課題を考えさせる本であったことを、何よりも強く感じたことを書き忘れてはならないだろう。
 人間というのは不思議なもので、自分が知らなかったことは、あたかも誰より早く知っていたかのごとく振る舞い、自分がわからないことを言ったり書いたりする人に対しては表現力がないと居丈高に見下ろすような態度を取る。そして、結局は、例えば日本とは云々、戦争とは云々、文章とは何々と、高踏的なようでいかにも固陋な通説に逃げこんで御教説を垂れる。そして、そういう人間の性(サガ)につけ込むかのように、富であれ政治であれ権力をもつ人たちは、隠された真実を突きとめようとする人たちの口を封じてきたのではないか。
 そのようにして隠されてきた事実とは何なのか――歴史を知るということは、そうした思考方法から自由になり、自らの認識の空白を自分で埋めていくことではないのか。この本で読みながら感じたのは、そうした格闘の姿である。
 もちろん、この本で明らかにされた史実なるものが、真に事実であったのかどうかは、専門の研究者の間で議論を詰めていくことになるのであろう。そして、国際的な共同研究が進展しているそうだから、今後は国際的な視点から吟味され、俎上にのせられるはずである。

 ただ、私自身、シベリア出兵について細谷千博氏や原暉之氏の浩瀚な名著を読み通したが、この本のようにそれが四つの出兵からなるものだということを、明確に知ることはできなかった。両氏の本は緻密なだけに却って深い森に迷い込んだように見通しが効きにくいという面もあるのだろう。真実を見出し、わかりやすく見せるということは必ずしも容易なことではないようだ。
 いずれにしろ、何がどこまでが事実であるのかを確定していく以前に、まず隠された事実、見えない事実、を明らかにしていくことからしか、「真に知る」ことは始まらないということだけは確実ではないだろうか。その意味で、私には先ず自分が知らなかったことが次から次へと提示され、それがいかに繋がっていたかを読み進むことに戸惑いと一種のめまいのような感覚を覚えつつも、どこからか知る喜びのような感情が涌いてくるのを抑えることができなかった。  
 私にとってどれほど、新知見があったのかを、ここで書き上げることは到底できない。何が新しい「発見」なのかは、人によって異なる以上、自ら読んでみるしかないのだろう。
 あとがきでは「冗長で煩雑」と謙遜してあるが、一度でも原史料にあたって歴史を調べてみた経験がある人なら、この緊密な構成と緻密な分析そして凝縮された文章の背後に、どれほど膨大な史料群が堆く積み上げられているのかを推察するのは容易なはずだ。  
 また、その時代遅れの感もある古典的文体からは、外交関係や戦争を扱っている以上、また直接に歴史認識論争を引きおこしかねない以上、一点一画もゆるがせにしてはならないとする筆者の覚悟のようなものが、行間から伝わってくる。
 さらに、歴史分析でありながら本書を読んでいて気づくのは(最後の一文に集約されているように)、日・中・米の対抗関係などの歴史と現在とが切り結ぶ局面で見ようとする著者の姿勢である。ともすれば、私は歴史家だから現在のことは係わらないというのが、常套句となっているようにみえるなかで、ここには、古文書いじりに終わらない歴史研究の真骨頂があるように感じた。

 「知らざるを知る、これ知るなり」―これこそ真に知るための確実な第一歩なのだということを、この本の著者は自分で実践しているからこそ、誰も見えてこなかったことを探り出し、私たちに提供してくれたのだと自分は感じた。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By b-movie
まず、とても面白い本です。
各国、国内における利害や考えの不一致の交錯する様子がとても読みやすい文章で書かれています。
戦略的に言えば敵の敵を味方につけるか否か、という視点が多いように感じました。

読後の感想としては、第二次大戦というのは「結果」にすぎず・・・言い換えれば終わりの始まりといったところ。
そして「経緯」「ターニングポイント」はかなりの比重で第一次大戦にあるのだな、というものです。

明治維新は国内の騒乱という点の比重が大きいし、第二次大戦は実際に色んな国と戦っているとは言えあまりにも破滅的すぎる。
直接的とは言いにくいものの、心理的に世界中とまともに戦っていたのはこの戦争なのかな、といったところ。

私のような「かじる」程度の人間であっても、第一次大戦をかじってみる価値はあると思います。
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