8000m以上の14座全山踏破。それだけでも畏敬の念をもつ偉大な登山家
ラインホルト・メスナー。弟ギュンターとともに加わった遠征隊がどうやってこ
の山を攻略していったかを、自分と深い関わりをもったメンバーに語らせるよう
な手法で描いていく。書き出しのこの山の登山史からどんどんひきこまれていっ
た。クライマックスは弟ギュンターの死という悲劇で味わう絶望と生還への死闘。
すぐれた文章力によってその描写に圧倒される。彼の生命力は「死の谷のクレパ
ス」のシンプソンに劣らない。その生命力と弟ギュンターの死を乗り越えていっ
た強靭な意志が14座全山踏破につながっていったのだろう。
遠征隊の隊長や他の隊員との確執、天気予報の誤報を伝えた赤い信号弾など、
ミステリーも人間ドラマもいっぱい詰まった読みごたえのある本だ。