詩人曰く、これが最後の詩集かもしれない・・・これだけ書ければ、まだまだ次作を期待しています。
万葉仮名の詩文は、折口の影響か。デビュー当時から変わらぬスピード感のある日本語と外国語が混在させながらも、独自の抒情味をたたえながら叙事詩を展開する。南米ブラジル、北米アメリカ、沖縄、日本、中国に韓国とあたかもポリグロットの世界に滑り込ませる。
疾走する現代詩を書き続けて40年の詩人が、3月11日の東日本大震災を挟んで、仕上げた最新詩集。文体の実験でもあり、現代版吉増剛造万葉仮名で綴られる詩文。行間を埋める散文的解説は日記風に震災以後の日付を刻印。福島、岩手、東京、広島、フランス、ブラジル、沖縄、アメリカに巡りながら、折口に導かれながら、鵜飼哲の謦咳からジュネに親炙し、詩人は現代万葉歌集をものにする。かつての疾走は、リズムと音韻に引き取られ、散文にも息づく。集大成にはまだはやい・・・。
生原稿の色彩豊かないろどりで独特の言語宇宙を創作しつづける感性と論理の世界は、自らのフットワークで裏付けたもの。ときに映像作家、ときに詩人、ときに・・・、止めておこう、生まれながらの詩人には敵わない。