あるホテルで死体が発見され、自殺と周囲から思われるが、死者の奥さんだけ納得せず、たまたまかかわりあった人間や知人等にあたりかまわず再調査を依頼する・・・というのが発端ですが、ここら辺りまでは死者の死ぬ前の行動を探ったり、死者の人格が提示されたりと普通の推理小説のように展開しますが、途中から紆余曲折し始め、最後に問題の解決に至りますが、これも曲者で100%信用していいかわからない解決になっております。登場人物も多く、ほぼ全員が1人称の「わたし」を使う1人称多視点の小説なので、読んでる方も混乱してきます。
著者が何をしたかったか憶測すると、小説全体を巨大で迷宮のような「装飾庭園」に見立てて、登場人物全員を複雑で迷路のような庭園に誘い込み、その中で全員を迷わせ、読んでる読者も煙に巻くというブラックジョークの小説を書きたかったのでは、と思いました。そういう意味では成功してると思いました。
似たようなメタミステリにロバート・クーヴァーの「ジェラルドのパーティー」がありますが、小説としては本書の方が面白かったです。が、普通のミステリのようなカタルシスを期待すると些かがっかりするかもしれません。何故、「装飾庭園」をネタにしたかったかは、訳者あとがきで詳述されてるので一読をお勧めします。