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「傍聴しに行った人の感想とか」
が書いてあるだけです。娯楽本です。教養本では無いです。暇つぶしに読む本です。そして楽しめる内容です。
たとえば強制わいせつ、強姦などの原告証言を生で聞けないことへの不満
、被害にあった女性自身による犯行の詳細な説明を聞いて「興奮した」
などといった発言。少年による集団リンチのうえ殺された子供の父親が
哀しみのあまり見ず知らずの著者に自分の心情を吐露した際の「数年
前の出来事なのに、いまだその気持ちは晴れないのか」という、あまりに
素朴すぎる感想。
そういう気持ちを抱くこと自体が問題なのではなく、この著者はそこから
なにかを考察するという姿勢に徹底的に欠けていることが問題なのだ。
フツーの人が傍聴に行く意味というのはそこの部分にあるのではないか。
まあ、著者は「昔は自分も痴漢をしようとして電車に乗ったが勇気がなくて
できなかった」とか「早朝の交通量の少ない道だったら、自分だったら
時速100キロ以上出して運転してしまうだろう」とか、モラルという点で
果たして純粋にフツーの人といえるかどうかは疑問だが。
この本は毎日ただで各地の裁判所内で行われているもの以上でもそれ以下
でもありません。
結果としてとても浅薄な傍聴体験記になってしまった。
巻末に収録されている傍聴マニアの方との座談会での、マニアの発言が印象に残る。「こういう事件を傍聴して家に帰ると、女房がテレビドラマなんかみてるじゃない。もう、バカじゃないかとね」現実、ナマのほうが面白いに違いないよね。傍聴に行って見なきゃと思わせる一冊。