「爆笑お言葉集」に続く第2弾。柳の下の・・・と思いながらも結局購入。内容も構成も前作とほぼ同じだが、傍聴仲間の原稿や外国の裁判官のお言葉も紹介されている。前作がヒットして忙しくなったのだろうか。
印象に残ったのは、法律的に導き出される量刑が心情的に科すべきと考える量刑よりも軽いケースにおいて裁判官が被告に対してかける“お言葉”と、それに対する著者の解説だった。
そして、中でも印象に残ったのは、福岡で起きたひき逃げ事件の判決に対するものだ。
幼児3人が死亡したこの事件で裁判所は、検察が求めた危険運転致死罪の適用による懲役25年の求刑を退け、業務上過失致死傷による懲役7年6ケ月の判決を言い渡したのだが、個人的な感情としてはこれだけのことをやらかして懲役7年しかならんのかという単純な憤りは感じたものの、それと同じくらい、判事の法解釈について疑問を呈することはなく、被害者感情に配慮がないといった感情論にのみ終始する多くのマスメディアに違和感を持った。
著者はこの判決に対して、裁判官の職務は法律を厳格に解釈し刑罰を科すときには慎重に“控えめ”に(これを「謙抑性」というらしい)することではあるがこの事件で裁判所はその謙抑性を効かせ過ぎたとしてその理由を述べている。この解釈が専門家達から見るとどうなのかはわからないが、少なくとも法の素人であるわたしには納得できた。
この本で紹介されている数々の“お言葉”は裁判官としての立場と一私人としての立場に齟齬が生じたときに、裁判官が思わず発した言葉ではなく考えに考え抜いた言葉であるに違いない。
裁判員制度の開始を間近に控え、ここ数年裁判傍聴記的な本、もと裁判官が裁判所の内情を暴露したような本も多く出版されている。この本は前者に近い内容だ。著者は司法試験を目指し最後は挫折しライターとして再出発した人物である。素人と専門家の中間に位置している。もしかしたら、裁判員制度が始まる前に一番参考になるのはこういう人が書いた本なのかもしれない。