「光市母子殺害事件」についての解説書である。特に
裁判所でのやり取りに重点が置かれている。裁判所のこの事件
への対応には(最高裁の対応も含めて),一般国民として納得
のいかない,不条理なことが多い。それを一つ一つ解きほぐして
分かりやすく解説している。その点で極めて優れた本である。
ただ,末尾に「岩をも貫く執念」として,裁判官の一般的な態度
(「被告側に甘い判決を出す判事の方が出世が早い」など)
についてこの著者特有の,批判的な叙述が見られが,これは
蛇足であろう。こういう中途半端なことばかり言っているから
何も改善されないのである。
この点は民事も含めて別のところでもっと詳しく分析して
述べるべきである。民事事件の場合,判決を出さずに和解ばかり
させる判事の方が出世が早い,といったこともあるはずである。
他にも,偽証は基本的にし放題で,検事の面子に関わるときだけ
罪に問われる,といったことも著者はよく知っているはずである。