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最も参考になったカスタマーレビュー
5つ星のうち 4.0
大震災の経験を文化として捉える視点,
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レビュー対象商品: 被災地を歩きながら考えたこと (単行本)
本書はタイトルにある通り、建築史・建築批評を専門とする著者自ら広大な被災地を備に巡って纏めたルポルタージュであり、特に前半と後半で大きくテーマが異なるというわけでもないのですが、読後感としては、前の方と後のほうでは、受ける印象が異なりました。(雑誌などに寄稿した20篇の文章を、破壊・文化・記憶・構築・情報・萌芽と題した6部に分けて編集してあります。) 前の方では、被災地の広域性というのがミソになっている気がします。TVなどで津波などの衝撃的な内容の映像には接しつつも、被災地から離れて暮らしている人間はそこから勝手な「被災地」イメージを作ってしまいやすく、自ら積極的に多方面から情報を得それを確認するということなしには、一口に「被災地」と一括りにできないほどの多様性があることを見落としてしまっていることを、今更ながら思い知らされました。 また本書には写真も多数掲載されているのですが、「建築という視点」からの解説が添えられているので、評者個人としては一般の写真集を見るより印象的で興味が持てました。 後の方へ読み進めて行くに従い、この大震災の経験にどう向き合うか、というのがテーマとして感じられました。大地震・巨大津波の記憶をどう残すかという議論を、被災者の方々の生活基盤の再生も未だままならない中で積極的に行っていくということは、彼らの感情を害しかねない要素を多分に含んでいると思われますが、それについては著者の明確な主張が明確に述べられています。 だが、それでもなお筆者は確信を持って倒壊ビルを残すべきだと考えている。・・・世界史的な宿命を負ってしまったからだ。・・・われわれのためというよりも、いまだ生まれぬ未来の子供たちのために残さなければならない。(P.174) 評者自身被災者でないこともあってか、この「理屈」は理解しやすかったものの、それをどのように具体化するか、という問題になると容易ではないでしょう。「復興の特需を通じて仕事がふえる可能性を持つ建築家」(P.179)の方々からは様々な提案がなされているようですが、下手をすれば著者のいう「建築の暴力性」の方が前景に立ってしまいかねません。 それでも、著者自らアイデアとして語られている「避難訓練としての祝祭」(P.212)は面白く感じられました。 建築の門外漢には、分からない固有名詞も多く出てきて楽しめない部分もあったため、★4つといたします。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
建築評論家の見た3.11 ,
By iccinc "iccinc" (東京都港区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 被災地を歩きながら考えたこと (単行本)
東北大学の建築史、建築批評の教授が3.11地震、津波災害について、新聞、(建築)雑誌に掲載したものを加筆、再編集した書物。 1960年のチリ津波が志津川を一キロ以上遡上した(日本の地震災害、岩波新書2005)記憶がある筈なのに類似災害が繰り返されている事実には人生観も含めた対策の難しさがわかる。 一般のマスコミ報道とは違う建築家の視点はそれなりに参考になる。 ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展1996に前年の阪神淡路大震災の瓦礫を展示した磯崎新の話を読むと建築家の顕示欲に驚く。 2001年に支柱、壁強化などの耐震工事をした、東北大学の建築科建物の柱座屈の例は耐震診断や耐震工事を信じきっている大衆には良い教訓となる(詳細は日経アーキテクト、2011/05/14)。担当した建築構造学教授は耐震工事をしたからこの程度で済んだとのたまっているそうである。 建築家集団の実態を知る意味でも参考になる。
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