私自身が「斜陽産業」「衰退産業」と呼ばれ始めた業界に身を置いて
いることもあって、タイトルを見てすぐに本を手に取った。
本の舞台は、電力会社の子会社で先の見通しが暗くなったコンクリート
製品メーカー。前半では、風土改革がスタートする前の社内の雰囲気が描
かれている。親会社への依存度が強い一方で、親会社への反発が強い社員
の雰囲気。いわば面従腹背でモチベーションも低く、現状を打破しようと
しない。それどころか、自分たちの置かれた現実を直視しようとさえしな
いダメダメ会社だった。幹部や現場社員たちが語る不満やあきらめ感を読
んでいくと、まるで自分の会社のことのようで胸が痛くなり、何度も本を
閉じた。実は私はこの部分が一番響くだろうと思い、同僚にも勧めた。
この会社では、親会社から天下ってきた新社長が危機感を抱き、小手先
ではなく根本から改革していこうと決意してスコラ・コンサルトと共に企
業風土のプロセスに入っていく。自分たちの思いを腹の底から吐き出して、
一つの進むべき方向性に昇華させていく手法が、役員・幹部クラス、工場
などの中でどう進められていったか淡々と描かれていく。なかなか進まな
いもどかしさ、葛藤、それでも最後にイメージが一つにまとまった時のう
れしさ、高揚感が手に取るように伝わる。正直うらやましく思う。
スコラのメンバーが触媒となってやっていることは、自分たちが本来持
っている力をうまく発揮できるようにするだけのことなのだが、それが自
力ではできないのが企業・組織の難しいところだと改めて感じる。と同時
に、舞台となった会社もそうだったが、経営トップが改革の必要性を強く
感じないと風土改革は難しいのではないかと、自分の会社を思ってちょっ
とつらくなったのも事実。
最後の方に出てくる役員たちが取り組んだ「三つの宿題」には、大きな
気づきを得た。'(1)自分たちにとっての顧客は誰か(2)自分たちが
提供する価値は何か(3)B提供価値を高めるためには何をするべきか。
答えは必ず自分たちの中にある。
あきらめずに何とか自分のいる会社・組織を変えたいと思っている人に、
モチベーション喚起・維持のためにお勧めしたい。