本書はモータリゼーションや郊外のショッピングセンター、産業の停滞などによる衰退を克服したアメリカの中小都市の事例を紹介するものです。
本書ではアメリカの類型の大きく異なる五つの都市−大学都市もあれば、観光都市もあり、産業都市もあれば農業都市もある−の事例を紹介します。これらの都市は人口規模も違い、都市再生のきっかけもプロセスも大きく異なっています。なので都市の再生を考える上で多様なアイディアを得ることができます。
また、本書の最後では著者によるまとめと日本の都市における展望が提案されています。都市再生の多様性にも、市民の力や将来構想、市場メカニズムの規制やデザインの重要性などの一定の共通性があり、それらのポイントを押さえることでアメリカとは幾分か状況の異なる日本での考察の足がかりとなります。
豊富な写真や図表も内容に劣らず素晴らしいものです。目で見る美しく活気のある街の姿は、「衰退を克服した」というキャッチコピーを説得力のあるものにしています。何より、見ていて楽しく、分かりやすく、これから私たちが展望する新しい都市のイメージが描きやすくなります。衰退して疲弊している日本の中小都市をどうにかしたいと思っている人には必読の書です。