数多くの人間を強請っていたマクスウェルが、密室
状況のホテルの部屋で、射殺体となって発見される。
死体が発見される直前、マクスウェルに強請られていた二人の男が犯行現場
となったマクスウェルの部屋に出入りしていたため、有力な容疑者と看做される。
しかし、密室の中には、身体の自由を奪われ、
衣裳戸棚に押しこまれたウェイトレスも居て……。
密室内に、被害者以外の人間、すなわち〈衣裳戸棚の
女〉が居るという、ユニークな状況設定が特長の本作。
状況から考えて、〈衣裳戸棚の女〉が、いかにも“臭い”のですが、解決場面
に至ると、そんな予想の遥か斜め上を行く、ぶっ飛んだ真相が開示されます。
また、本作のトリックは、実体的な密室トリックだけで構成されているのではなく、登場人物たち
の動線を巧みに交通整理しながら、プロットに起伏をつけていくことで、関係的に構成されたもの。
全編を覆うユーモアや、味のある人物描写との相乗効果で、そのトリックが持つ
破壊力を最大限に引き出しているだけでなく、見方によってはかなりエグい本作
の真相を、口当たりのよいものにしているのが秀逸です。
物語としてのコクとか深みは望むべくもない本作ですが、ミステリ好き
なら、間違いなく一読の価値はある、愛すべきバカミスだと思いますw