広島カープを応援するというのは切ないものだとつくづく思う。
毎年毎年、シーズン前半で優勝の可能性は消え、
Aクラスにも届かないまま、もう13年にもなる。
それでも大勢のカープファンが最終戦まで球場に集い、
力の限りの応援を繰り返す。
ケガや下積みで苦労した選手が活躍すれば、我が事のように喜び、
今年のマエケンのように、球界を代表する選手になるまで成長すれば
いずれFAで出て行ってしまうのでは、と心配ばかりしている。
きれいな新球場ができてお行儀が良くなったのか、
昔よりもだいぶ優しく、丸くなったなぁと思う。
しかし、いい加減負けが込んでくると、
「この球団は本当に優勝する気があるんか?」と思いたくもなる。
オーナーが頑固、高い年俸を出す気がない、OB・生え抜き優遇と
いろんな話がファンの間で語られるが、
広島のマスメディアは球団を真正面から批判できないから、
ファンの愚痴のままで終わるばかりである。
この本はそんな、ファンなら誰もが思ったことがあるだろう球団の姿勢を、
最近の主力選手だった新井・黒田選手のFA退団や、
生え抜きの名選手だった衣笠祥雄氏や高橋慶彦氏が
指導者として戻ってこないことを例に挙げながら解読している。
上に書いたとおり、球団を真正面から書いた出版物は少ないから、
ファンだからこそ言いたいという気持ちを本にされたことには素直に共感できる。
ただ、新井・黒田選手の退団への気持ちの動きを
「・・・だったのだろうと思います」とあくまで推測で書かれていて、
週刊誌の憶測記事のようで、ちょっと説得力に欠ける印象がある。
本当はもっとドロドロした人間関係があるのだろうなとも想像するけれど、
さすがにそんなところには踏み込んでいないので、
球団の問題点の本質を突くところまでには至っていない。
ともあれ、開けてはならないはずの「パンドラの箱」に
地元の出版社から出た本が触れたという点では画期的だと思う。
ギリシャ神話のように、「中に残っていたのは希望」であると信じたい。