ソウルフラワーユニオンの顔にしてダイナモ、中川敬の久々のソロ名義作。
ソウルシャリスト・エスケイプが1997年なので、14年振り。
しかも前回はソロプロジェクトだったので、純然たる「中川敬」名義では初のアルバムです。
殆どの楽器を一人で担当し、曲調もアコースティック一色。
そして製作中に発生した東日本大震災が、当然ながらこのアルバムにも大きく影響を与えています。
長年ソウルフラワーをフォローしている方々なら、震災と彼(ら)との「繋がり」の深さはご存知の通り。
書き下ろしの曲は勿論、セルフカバー曲やチューリップや浅川マキ、アイリッシュトラッドのカバー曲にも、どこか憂いが漂っています。
しかし長年「うた」を突き詰めて来た中川敬が、「憂い」だけで終わる訳はありません。
自然に翻弄され、その後の日本の行く末に思い悩みながらも、彼の歌声には隆々とした「筋肉」が宿っています。
だからこそ聴き手の我々は、彼の歌声から力をもらえるのです。
多分中川敬は、楽隊を引き連れて、岩手や宮城や福島に足繁く通い、歌い続けていることでしょう。
そう、16年前と同じように。
このアルバムには、今までそうして行動して来た人の説得力が凝縮されているとも言えるのではないでしょうか。