薄い。私は街道をゆくシリーズを全冊揃えているわけではないが、絶筆の濃尾参州記ば別格として、シリーズの中で1番薄いのではと思う。ニューヨークに旅行するときに鞄に詰めるのに便利だし、旅行を2倍楽しくしてくれるだろう。
題名通り、著者はニューヨーク市内だけを散歩する。ブルックリン橋を建設した人等、散歩しながら様々な人に思いを巡らせるが、一番のハイライトは角田柳作先生についての話だろう。コロンビア大学の教壇に立って、ドナルド・キーンの恩師となる日本人教授である。日米間が緊張している時代にあって、角田先生とドナルド・キーンの師弟関係の物語は麗しい。角田先生の研究者・教育者としての毅然とした態度を知れば、誰でも我が身を振り返って姿勢を正しくしようとする思いを抱くだろう。
日本学の大家ドナルド・キーンの原点を知ることのできる好著だ。