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そこは韓国唯一のミカン栽培地、という紹介から始まって、じっくりその独特の文化のひだを分け入るように、司馬氏の筆は進んでいく。
身近な韓国というだけで、充分に興味深いが、司馬氏自身が、念願の旅先のひとつとして思いつづけていた土地、というだけに、冷静ながらも熱のこもった観察・発見の文章を堪能できる。
(ちなみに、司馬氏念願の5大旅行地は、モンゴル、バスク、アイルランド、ハンガリー、済州島だったとのこと)
良き道案内として、姜在彦(カン・ジェオン)氏を得て、文献と耳学問との両方向から、済州島――ひいては韓国、日本、モンゴル――の実態と関連性が、ふかく、だが平易に、解き明かされていく。
読むほどに、しみこむ、そんな平易な筆さばきが、じつにありがたい。
韓国における流罪の地であった、ということからの連想で、菅原道真の生涯を振り返る相当長い脱線も、転んではタダでは起きぬという中身で、それはそれで面白く読める。
(在野の知識人、司馬氏が、昔も今も変わりのない公職の官僚学者たちの醜くおぞましい人事抗争・出世競争を、おもう存分に揶揄しているのだった)
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