ソウル→LA便の大韓航空機内でみた機内雑誌、表記はハングル語と英語のみでした。韓国にとって豊臣秀吉の朝鮮出兵が許すべからざる事件であると初めて知りました。その時、朝鮮に降伏した日本人武将がおり、投降した彼は重用され、その末裔が今も生きているという記事にも出くわしました。忘れたままになっていたその時の驚きに、この著で邂逅しました。
『慕夏堂記』という古い書物を基に調査を進められた司馬さんは、直接その地へ赴き、彼の末裔たる人々に会っています。中の老翁が言ったこと、「こっちからも日本へ行っているだろう。日本からもこっちへ来ている。べつに興味をもつべきではない」。この肩透かしのような言葉。日韓について考えるとき、もっと肩の力を抜いてみな、と老翁に諭されたようでもあります。司馬さんは、<私はその(老翁の)にべもなさが可笑しく、声をあげて笑ってしまった>と感想を残されています。