函館から札幌、陸別へ至る道のりが今回の「街道」です。稲作が根付かなかった―すなわち「中央」と文化的根源を共有しなかったために(「おかげで」と言うべきか)、本州と一線を画して歴史を歩んだ北海道。その足取りを、時に軽やかに、時に丹念にたどっていきます。
近代の開発にあたり、米国の農務長官を招聘するという荒業に及んだ、開拓史次官黒田清隆。一夜にして住処を嵐の中に失い、新天地に懸けざるを得なかった新十津川の人々。70歳を過ぎて、未開の陸別に夢を託した関寛斎。文字通りに風雪に耐え抜いた彼らの気概が強く強く伝わります。一方で、開発にあたって人を「モノ」同然に投下した、明治政府高官たちへの筆者の激しい憤りもまた心を揺さぶります。
おなじみの須田画伯もさりげなく登場。彼らの旅とともに、北の大地に染み込んだ、情熱や悲しみをしっとり味わえる一冊です。