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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
歴史を知れば知るほど面白さがわかる本,
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レビュー対象商品: 街道をゆく〈19〉中国・江南のみち (朝日文庫) (文庫)
今回何年ぶりかで本書を再読したのだが、私自身の歴史に関する知識が増えたせいか、初めて読んだ時よりもはるかに面白く読み進めることが出来た。著者は一般観光客が訪れるお仕着せの観光地ではなく、漆喰の壁と薄い瓦が特徴の蘇州や紹興の古い民家に、遠いヨーロッパにつながる美しさを感じる。また寧波の沖で眺めたジャンクからは、日中間の交流に想いを馳せて、遣唐使船と入宋船との安全性の違いに触れ、宋代にアラブ商船の影響によってジャンクが誕生したことを指摘する。また杭州の竜井茶の畑では、世界商品としての茶について考察し、17〜19世紀の茶は、ちょうど20世紀後半における中近東の石油のように、戦略的価値を持つ商品であり、時代が変わった今では想像することすら難しいが、アヘン戦争のような戦争の種にもなり、世界史に連続的衝撃を与えてきたことを指摘する。 一番面白かったのは、日本語の「急須」という言葉の起源を探る箇所で、明治時代の大阪では「きびしょ」と発音していたことや、それが現代の福建語にとても似ていること、急須が本来は酒を暖める道具だったことなど、急須のような日用雑貨にも、複雑で興味深い来歴があることを教えてくれる。また、18世紀の日本で蒸気で蒸して煎茶を造るようになったことこそ、日本独自の茶の誕生といえること、日本茶の栄養価は非常に高く、西洋料理・中華料理よりも淡白な日本料理に最適だということも教えてもらった。 本書は、道元と彼の乗っていた船に日本産しいたけを買いに来た老典座の話で終わる。かくのごとく日中間の人的交流が今後とも、精神的創造性をもたらすものであって欲しいと思った。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
日本史の影と岳飛論,
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レビュー対象商品: 街道をゆく 19 中国・江南のみち (朝日文庫) (文庫)
街道をゆくシリーズで中国の紀行文を収録したのは3冊あるが、どれも面白い。この江南のみちでは、蘇州や会稽の地を巡り、春秋時代の呉越の激闘を思ったりするが、意外や日中交流に焦点を合わせた章が多い。呉(ご)と呉(くれ)、呉音と呉服、茶における中国と日本、日本史の影、等だ。日本と江南を結んだ人・物の交流といえば、鎌倉〜室町時代の日宋貿易が代表的だが、呉音の日本語への定着が示すように、交流の歴史は古くに遡ることができる。著者の頭の中でどれぐらい遡るかは、読んでのお楽しみ。 杭州に足を運ぶと話は金と南宋の対立におよび、岳飛廟では悲劇の英雄・岳飛の今も変わらぬ庶民の間での人気と岳飛を弾圧した政治家・秦かいの不人気を目にする。しかし、書家としての岳飛を称賛しつつも、攘夷のイデオロギーに染まった岳飛よりも現実を見た秦かいの肩をもっていることが察せられ、著者の宋学嫌いが垣間見える。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
今回も楽しませてもらいました,
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レビュー対象商品: 街道をゆく〈19〉中国・江南のみち (朝日文庫) (文庫)
揚子江の南に位置する江南地域である江蘇省、折江省をめぐる旅です。両省は、古来、日本とは、遣唐船、遣明船等の航海を通じ、関係の深かった地域であり、司馬氏の思索は、航海で行き来した人々や文化、即ち、道元や茶、うだつを始め、同省に縁のあった魯迅等々、いつもながらの広がりを見せてくれます。また、旅行を共にする人々、あるいは、同省で出会った無名の人々へ注がれる、暖かな著者の目と筆致もいつも通りであり、著者が行程を経るのと歩を一にしながら、知的刺激を味わえると共に、人間はいいもんだという暖かな気持ちにさせてくれる、このシリーズの特徴を味わえる1冊です。 他のレビュアーも仰っているように、自分が成長するのに合わせ、また、違った楽しみが味わえるのもシリーズに共通する所であり、シリーズのファンには、お奨めの1冊です。
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