NHKの大規模な街道てくてく旅には、これまでに、四元奈生美の外、岩本輝雄、勅使河原郁恵、原田早穂が登場しているのだが、やはり、この中では、四元奈生美の存在感が、一際、抜きん出ていると思う。NHKの旅番組のベスト・キャラクターは、関口知宏に尽きると思うのだが、良い意味でテレビ慣れした自然体の彼女の、画面から溢れ出てくるような人懐っこさと愛嬌あるキャラクターは、それに次ぐ存在といっても過言ではないと思う。この四国遍路編での旅が、こうした番組で彼女を見ることのできる最後の機会になってしまったことは、非常にもったいなく、残念でならない。
さて、この四国遍路編を見ていると、他のてくてく旅とは異なる大きな特徴があることに気が付く。まず、遍路道が、四元奈生美でさえも音を上げる過酷なものであること。そして、遍路道沿いの各所に設けられているお遍路さんの接待所のボランティアを典型的な例として、日常的にお遍路さんを受け入れている土地柄から、お遍路さんへのお接待文化が、沿道の人々の心の中に、自然に根付いていること。さらには、他のてくてく旅が、旅人と地元の人との触れ合いにほぼ限定されているのに対して、四元奈生美と、さまざまな思いを抱いて四国八十八か所を巡るお遍路さんたちとの出会いと触れ合いがあることだ。
ところで、NHKのこうした旅番組のDVD化の常として、このDVDも、特典映像は、朝の生放送の一部などを使い回しているだけの寂しいものに終わってしまっている。本来、特典映像というものは、テレビや映画では絶対に見ることのできない映像を見せるべきものであり、それが特典映像を見る者の大きな楽しみでもあるのだ。放送済の番組を、これだけの金額でDVD化するのなら、膨大な未放送テープを掘り起こして特典映像を作るくらいの企業努力は、当然あって然るべきだろう。いかにもNHKらしい殿様商法に、一言、苦言を呈したい。