春のうららかな日に、ぼーっとして何をするでもない日に、ひざに乗せたいのはこんな本です。それだけで一日が穏やかに流れ、ふうっとしあわせな気持ちに包まれる。そんなあたたかなちからが、この本には宿っています。
腹をかかえて笑うようなギャグまんがではないと思います。ちょっとにやっとする感じですね。なんとでもない、取るに足らない日常のふとした瞬間を切り取って、ちょっとした笑い(たとえばメガネ店長のメガネをはずしたときの異常にきれいな目、しあわせをよぶスミレ、花言葉で会話する、など)を混ぜています。
笑いなんだけれど、ほんわか暖かいほのぼのまんがなんだけれど、私が一番好きなのは、こうのさんの漫画にある、一瞬時のとまったような、まじめな瞬間。
登場人物の顔がふしぎに輝いて、ふとたちどまってしまうような力のあることばを発する瞬間があるのです。
その瞬間は、ぞくっとするほどきれいで、こうのさんの独特のものだなあと思う。
何度でも読みたいと思いますね。読めば読むほど、味が出ると思います。