本書の読者は大きく二手に分かれると思われる。つまり、「内田樹の本」を買った人と、「教育論の本」を買った人である。
前者の読者には特に言うべき言葉はない。最近の著者の関心事である「教育」について語られるその議論は、きっと楽しく読み進められるに違いない。
問題は、特に「内田樹」という名前に関心があったりその著書を愛読したりしていたわけではなく、「教育」問題に関心があって何となくこの本を手に取ってみた、といった方である。評者としては、そうした方々の読み方や感想に興味が向く。
一刀両断に分かりやすい教育談義がどれほど有害無益であるかということが分かりやすく書いてあるこの本は、これまでアツく声高に教育について語ってきた人の頭を冷やし、絶望感にさいなまれていた人に希望と勇気とを与えるのではないか、と思うのだが。