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街場の大学論  ウチダ式教育再生 (角川文庫)
 
 

街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫) [文庫]

内田 樹
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「オレ的に面白いか、面白くないか」と「金になるかならないか」が日本人の行動モチベーションとなってしまった今、「教養」「知」「大学のあるべき姿」等を綴った画期的教育論。

内容(「BOOK」データベースより)

日本の大学は今や「冬の時代」を迎え、私立大の40%が定員を割っている。この危機の中、多くの大学は「市場原理」を導入し、過剰な実学志向と規模拡大化に救いを求めている。この現状は学生を真の「学び」へ導くのか?大学の社会的使命とは何か?最も信頼できる論客が、大学の原点に立ち帰り放つ、画期的教育再生論。文庫化に際し、文科省国立大学法人支援課長・杉野剛氏との「大学の行方」をめぐる新対談も追加収録。

登録情報

  • 文庫: 343ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010/12/25)
  • ISBN-10: 4043707045
  • ISBN-13: 978-4043707041
  • 発売日: 2010/12/25
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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身辺雑記 2011/1/15
By これでいいのだ トップ500レビュアー
 現役の(そして今春で選択定年なさるという)人気大学教授が、気の向くまま、ブログに大学を巡る折々の感想・見解・批判を述べ立て、それらを編集した主要部分に、文科省の役人との対談などをまぶした1冊。章建てにメリハリが窺え、特に東京から神戸の女子大に赴任して約20年というポジションにある著者の、縦横無尽・自由闊達なタッチの教育時評論集という体裁になっている。

 ブログ掲載の折はともかく、1冊になると、不思議なことに、とりたてて「ここが面白い」「意表を突いて新しい」という箇所が見当たらなくなってくるが、身柄を拾ってもらった神戸女学院大学が好きで、「世の中が神戸女学院のようになればいいな、と思っている」(著者の近年のブログにあったくだり)というスタンスから、最近の国公私立大学の模様、および大学に足場を置いた身辺雑記を描いていて、飽きさせない書きぶりではある。日比谷高校と東大全共闘にいたことを、腰を引きつつ自慢するだけの第8章は、もうそろそろ「たいがいにして欲しい」とは思うけど。。。この点がうっとおしく、かつやっぱり全体の筆致に新鮮さがうかがえないので、☆は三つ。
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本書では、大学運営における内田氏の「変化」を見て取ることができる。

本書の前半(00年代前半に相当するだろうか)において、氏は大学教員の評価システム導入を積極的に主張していた。
何でも、大学の世界には「5年以内に論文を1本も書いてない教授」というのがけっこういて、彼らは「タダ飯食らい」のように大学に寄生しているらしい。
そういったダメ教員の尻をたたき、組織全体のパフォーマンスを向上させるためには、大学は教員の働きを評価するシステムを作らなければならない。
それは、少子化によって将来確実に生じるだろう大学間競争を生き残るために必要不可欠の方策であるはずだった。

ところが、こうしたシステムを導入するには、とうぜんそのシステム構築という責務をなにがしかの教員が担当しなければならない。
そしてこういう仕事を押しつけられるのは、たいていまだ若手で、事務能力にも長けた(つまり研究者として前途有望な)教員である。
かくして面倒な仕事を引き受けた若手教員は、自身の研究の時間を削ってでも職務を遂行しなければならない。

内田氏は、このことによる損失を非常に重くみた。
いってみれば、これでは優秀な教員がダメ教員の尻ぬぐいをさせられていることになるからだ。
結果(00年代後半から)、氏は大学教員の評価ということに懐疑的になっていく。

普通の組織であれば、「コアとなる大多数の人間の平均値が上昇すれば、全体として成果が向上する」というのは正論である。
たとえば機械の工場などだったら、一握りの熟練工をレベルアップさせるよりも、大多数の平凡な工員の作業効率を上げる方がはるかに生産的である。
だが、大学という組織はそうではない。「ごく一握りの優秀な研究者がムチャクチャ成果を上げ、その他大勢はなんだか訳の分からないことをやっている(もしくは何もしていない)」というのが大学ほんらいのあり方だからだ。
こういう組織において、「成員全体の歩留まりを上げる」という選択は愚かしいものになる。

研究というのは、ある種「ばくち」のようなものである。
そのうちのいくつかは世界を刷新する大発見になるかもしれないが、ほとんどは「なんだか分からない無駄な営為」にしかならないだろう。
だがそれでいいのである。研究とは知の限界に挑戦する、きわめて前衛的な営みなのだから。

だから、こういう「コストを減らすための行為にコストをかけるのはやめよう」、というのが氏の見解なのだ。

ただし、これは理系の学部には当てはまらない面があるかも知れない。
サイエンスの分野では、通常の研究というのはコツコツと工場生産のように進展することが多いからだ。
そういう学部では、論文の引用回数であるとか、研究費をいくら引っ張ってきたかとかが、教員の評価基準として妥当なのかもしれない。

が、人文系の学部にとって、氏の見解は非常に示唆的ではないだろうか。
「人の価値を金や効率ではかろうとするな」、これは教育の世界においては死守すべき「定言命法」かもしれない。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hamachobi トップ500レビュアー VINE™ メンバー
"街場"シリーズの最新刊と思いきや、2007年2月に朝日新聞社から出版された、『狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論』に新たな対談を1編加えて、改題したもの。自分は旧刊を読んでいなかったので、問題はなかったけど、ちょっと紛らわしいタイトルかなぁ。

構成としては、教育、特に大学における高等教育の現状や行く末について、著者がブログに書いた文章をまとめたものに、文部科学省私学行政課長の杉野剛氏との対談が掲載された旧刊に、4年後に行った杉野氏との新対談を加えたもの。

教育分野における市場原理の導入や大学の規模拡大の傾向に警鐘をならした内田樹氏の文章は、たしかに頷けるものが多い。しかし、この傾向は何も今始まったことではないように思う。この文章が書かれた2000年以降だけでなく、私が大学に通っていた頃から(1980年代半ば。年がわかっちゃうね。)、大学生の学力低下や教養不足は叫ばれていた。しかし、むしろ、バブル崩壊、企業間の競争激化に伴い、社会が、いや正確には企業が大学に求めている人材は、どんどん即戦力、著者の言う「実学」思考になっていった。

その後20年、著者のような危機感のある人は、叫び続けてきたんだろうし、この本で対談してた文部科学省の杉野氏のような官僚も考えてきたんだろうけど、結局、今の状況に陥ってしまった。何が悪かったんだろう?もはや手遅れのような気がしてならない。
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