街場のマンガ論 内田樹 小学館 2010年10月
いつものブログからの転載加筆。
それと養老先生との対談。
養老先生のマンガ好きは知っていたのだが(京都国際マンガミュージアムの館長でもある)。
内田さんはさらに輪をかけてマンガマニアなのだ。特に女性マンガへの傾倒が凄い。ちなみに養老先生も少女マンガを読むと思っていたら(高橋留美子を読む)、うる星やつら、は少年マンガなんだそうだ。これも養老先生が以前より書いていることだが、日本のマンガの優位性は漢字を図像として、ひらがな・カタカナを音声として認識していて、脳内の別の部位で並列処理して作業効率が良いという仮説。
内田さんは二十代半ばで読んだ「エースをねらえ」で人生を習うのである。
それは武道人生の終わりが来ることを、宗方コーチが選手生命が突然訪れ、それまで自分のプレーヤー生命に終わりなどないと思っていた自分に深く恥じ入る。そして愛弟子のひろみに、自分の失敗を繰り返すなと諭し「この一球は唯一無二の一球なり」と伝えるのだ。p199
私は「師弟関係とは何か」について武道の修行のあり方について、このマンガからすべてを学んだ。そして全編にちりばめられた珠玉の言葉。「藤堂、女の成長をさまたげるような愛し方をするな」私はこのフレーズを20代から何度心の中で繰り返したであろう。「コーチ、私にも私のテニスを教えて下さい」「俺はその言葉を7ヶ月待った」というのもずんとくる。p194
第一章・井上雄彦論
井上雄彦の天才性について
天才バガボンド
バガボンド一気読み
「にょろにょろ」の教育的機能
井上雄彦さんの仕事場を訪ねる
第二章 マンガと日本語
日本語って変かも
ショコラ・リパブリック言語論
擬態語について
ベストセラータイトルの音韻について
第三章 少女マンガ論
少女マンガ・リテラシーと元少女おじさん
少女マンガの記号論
女は「三界」を遍歴する
第四章 オタク論・ボーイズラブ論
ノン・コレクター
SFから「オタク」へ
ボーイズラブとエロス
反米ナショナリズムとしての少年愛マンガ
第五章・宮崎駿論
足元を見よ
『千と千尋の神隠し』
『ハウルの動く城』の厚み
老いの手柄
「空飛ぶ少女」のために
第六章・マンガ断想
アメコミに見るアメリカのセルフイメージ
大学マンガを読む
『スピリッツ』療法
コピーライトについて
「プロの物書き」にちょっと駁す
パイレーツ・オブ・チャイナ
ジュンク堂と沈黙交易
『エースをねらえ!』に学ぶ
『エースをねらえ!』にさらに学ぶ
第七章 戦後漫画家論――戦後漫画は手塚治虫からはじまった
対談・内田樹 養老孟司(司会・菊地史彦)
あとがき
作家紹介一覧
作品紹介一覧