時期的に格好ともいえる日米関係論の文庫本化。
遠くて近いと思っていたアメリカについて、その成り立ちや国民性の深層心理に、古くて新しいメスを入れたスリリングな分析に溜飲が下がります。と同時に、よく読むと、アメリカを鏡にして、「日本人がどのようにアメリカを欲望しているのか」という、日本人の「欲望の水準」で日米関係が展開している点に、今までのアメリカ論にはない、一歩踏み込んだ視点が浮かび上がってきます。
ファーストフードやアメリカンコミック、児童虐待やシリアルキラー、裁判やキリスト教にいたる世俗的な事象に底流している人間観や他者感を、鮮やかに摘出しているその筆致に、目が覚める思いがしました。そして、そんなアメリカに従属させらることを欲望してきた日本人のメンタリティに、実は近くて遠いアメリカであってほしいというアメリカへの欲望が沸き起こってきました。