行動ファイナンスの書は、心理学理論の解説や、過去の実例(オランダチューリップ投機、大恐慌など)の紹介に終わっているものが多かったが、最近は統計的分析も加えたものが出てきた。
本書は、そうした類書に頭抜けている。一般的理論の紹介は簡潔に第1章で終え、第2章以下6つの章で統計分析をふまえた実践論を展開している。例えば、バリュー株の方がグロース株より投資リターンが高いことは他の本でも指摘されているが、本書では、データも豊富に分析しており、説得性が高い。株式市場だけでなく、IPOにおける公募価格設定の問題などコーポレート・ファイナンスの問題も詳しく論じられており、非常に参考になる。
訳者が述べているように、実践論も最新の研究論文を読みこなした上で、展開されており、「行動ファイナンスについては、これ一冊で十分」と言える。