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行人 (新潮文庫)
 
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行人 (新潮文庫) (文庫)

夏目 漱石 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

妻お直と弟二郎の仲を疑う一郎は妻を試すために二郎にお直と二人で一つ所へ行って一つ宿に泊ってくれと頼む…….知性の孤独地獄に生き人を信じえぬ一郎は,やがて「死ぬか,気が違うか,それでなければ宗教に入るか」と言い出すのである.だが,宗教に入れぬことは当の一郎が誰よりもよく知っていた. (解説・注 三好行雄) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。


内容(「BOOK」データベースより)

女性というものに哲学的な懐疑をもつ一郎は、弟に対する妻の愛情を疑うあまり、弟に自分の妻と一と晩他所で泊ってくれと頼む。知に煩わされて、人を信ずる事の出来ない主人公の、苦悩と悲哀と、寂寞と、それにさいなまれる運命的生活が描かれる。漱石の実人生と作品との交渉が問題にされる作品。大正元―2年作。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

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5つ星のうち 5.0 近代知識人の苦悩から漱石自身の苦悩へ, 2004/1/9
後期三部作の第二作。例によって朝日新聞への連載小説。

前期三部作に描かれた近代知識人の苦悩(自然と倫理or情念と理知、実務家のプラクティカルな能力とインテリの無為、無能力etc.)に関する問題がさらに推し進められて、より漱石自身の苦悩(人(と人と)の心の有り様や、信義や誠実の可能性、宗教観など、多分に(今の我々からすると)哲学的な問いかけ)が直接的に投影されている。

胃潰瘍の再発により、長期に亘る連載の中断をはさんだため、中断前と再開後の内容において、破綻とも言われかねない構成上の転換(語り手の変化)や、主人公(一郎)の心境の著しい変化などが見られるが、「彼岸過迄」を経た読者には、それほど気にはならない。

表見的には、「こころ」よりわかりづらく、とっつきにくいが、「こころ」を理解するためには、読んでおかなければいけない作品。

文章技術的には、相変わらず登場人物の心理が克明微細な筆致で描かれ、異常な迫力をもって呈示されるため、事件らしい事件も起こらず、プロットも極めてシンプルであるにもかかわらず、現代の読者の興味をも失わせない。傑作。

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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 生きることの苦しみ, 2003/1/23
新聞小説であった漱石の作品はいつもそうですが、後半に莫大な重みがある事に、毎度驚かされます。

兄さんは、「起きると、ただ起きていられないから歩く。歩くと、ただ歩いていられないから駆ける。駆けるとただ駆けてはいられない。刻一刻と速度を上げていかなければならない。その究極を想像すると怖ろしい。怖くて怖くてたまらない。」と言います。これは、兄さんの弁ですが、そのまま漱石の弁でもあったと思います。何もかもが転がる玉の如く加速度的に変化する世界で、どうしても一つ所に留まることを許されない、人間の苦悩がありのままに書きつづられたすごい作品だと思います。
最後まで読みきったとき、タイトルの「行人」という言葉が胸にしみてくる、相当重みのある小説です。

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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 心との戦い, 2004/7/9
この本を読むより先に「こころ」を読んだのですが、とても似ている作品でした。
どちらも自分の心と戦ってしまった人間の話だと思います。
多くの人は自分の心と戦ったりなどしないのでしょう。
何かを頑張ったり、欲望を抑える事も、結局は自分の心に従う事なのだと思います。
しかし一郎は自分の心と戦ってしまった。それもほとんど無益な。

目的があり、先に幸福がある、いわゆる「自分との戦い」に比べたら、どれだけ辛くて厳しい戦いか。
しかもこの戦いはどれだけ頑張ったとしても誰も応援してくれない、理解すらもしてくれない。
先に幸福を求める事はできず、ただ一人で苦しむ事しかできない。

これを読んだ人の多くは、その内容に共感すると思います。

と言うのも、誰でも一郎のように目に見えない物を怯えるような時期があると思うからです。
しかし大抵の人はそんな風に悩むのも一時期に過ぎないのでしょう。自分なりの答えを見つけるか、あるいは単純にそんな悩みを忘れてしまうから。

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