道路の建設や郵便貯金、それに伴う財政投融資については、正しいかどうかを別にして、様々な外部の眼が注がれてきました。それに比べて、一種聖域化して、拡大され、とうとう99にまでたどり着いたのが日本の空港の数です。著者はこの問題に様々な角度からアプローチしていますが、読後感としては戦略の失敗を戦術の工夫と改善で補うのはなかなか難しいというのが正直なところです。ここで戦略の失敗として挙げられのは成田空港の選択です。成田の問題はそれなりにいろいろな角度から取り上げられますが、やはり45年以上の前の論点を当時の政治情勢を含めて解説するのは至難の業のようです。なぜ夜間使用ができない、そして東京から60キロも離れた場所に国際空港が選定されたのかは永遠の謎のようです。もう一つの問題として取り上げられるのは、プール制をとる空港特別会計の存在です。この部分はかなり詳しく解決されますが、その将来をどうするのかは不明確なままです。オープンスカイとの関連で地方空港の現状が取り上げられますが、この将来性も悲観的なものです。それにしても空港の問題にしても、いつも明らかになれるのは、東京と首都圏の存在の圧倒的な大きさです。東京が他の地方を全ての面で圧倒している中で、当初は期待された関空の現在の問題は、その格差を象徴しているようです。この99のうちいくつが廃墟と化すのか、著者は明確な答えを避けますが、地方並びに国家財政が緊迫する中で、経済性という観点よりも国家のインフラという角度からの再スクリーニングがカギとなるのかもしれません。