別の人も言ってるけれど、忙しいはずなのに、これだけしっかり資料を調べていて、明治の世界を描いたことがすごい。歌舞伎役者は今でこそ伝統芸能で高嶺の花のような扱いだが、明治までは低俗な民俗芸能的な扱いだったのだな、と思った。北野監督の映画でもでてきたが、女形も少年も、男に売春をしていた時代。歌舞伎役者は当時は色子として、美男子が影でパトロンに色を売って成り立っていて、そんな卑猥な世界を当たり前に目にして育った主人公は、実は天皇の血筋の母と歌舞伎役者の父の間に生まれた子。いわば、天皇の汚点。高貴な血と底辺を這い回る歌舞伎役者の血との葛藤に苦しむ。さらに当時天皇といったら神なので、こんなことはあってはならず、尻拭い的に明治政府に命を狙われていた。男性性と女性性の間をどっちも行き来する歌舞伎役者の性が描かれていて、今の常識との違いにかなり抵抗感があったが、当時はこれが本当なんだろうと思う。漫画の表現では表現しきれないくらい内容が濃いので、漫画じゃなくて、実写にしたら、もっとすごいかもしれないと思った。(漫画は見たくないシーンをちょっと激しく描きすぎかも。)