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蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ
 
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蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ [単行本]

廉 思 , 関根 謙
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

社会現象化する「働けない若者」の実態。 高学歴、弱小、群居……。 中国で社会現象となっている高学歴ワーキングプア集団=蟻族。 高度成長の裏側で深刻化する、就職できない若者たちの実態に迫る。 中国でベストセラーとなった注目の書、待望の翻訳!

内容(「BOOK」データベースより)

高学歴、弱小、群居…中国で社会現象となっている高学歴ワーキングプア集団=蟻族。高度成長の裏側で深刻化する、就職できない若者たちの実態に迫る。世界経済の矛盾のなかに取り残される「蟻族」の激増は、わが国にとっても対岸の火事ではない。

登録情報

  • 単行本: 261ページ
  • 出版社: 勉誠出版 (2010/9/1)
  • ISBN-10: 4585230033
  • ISBN-13: 978-4585230038
  • 発売日: 2010/9/1
  • 商品の寸法: 19.6 x 13.8 x 2.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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By 左党犬 トップ500レビュアー
 「蟻族」(イーズー)というネーミングを考案し、はじめてかれらの存在を目に見えるものとした本格的な社会調査の記録である。昨年2009年に出版されたこの記録は、中国ではベストセラーになり、「蟻族」というコトバが一気に拡がったという。本書はその日本語版である。

 調査対象は、首都北京の「大卒低所得群居集団」、平たくいうと大卒だが低所得層で、都市と農村の境に立地する賃料の安くて狭い集合住宅に数万人単位で群居し、部屋をシェアして集落のなかで暮らしているワーキングプアたちのことだ。「蟻族」という表現を、私が初めて耳にしたのは数ヶ月前のことだが、それにしても卓抜なネーミングである。まるでその姿が手に取るように見えるではないか。
 「蟻族」はいわゆる「80年后(バーリンホウ)」とは世代的にほぼ完全に重なる、「改革開放」の1980年以降生まれの現在30歳以下の若者たちである。ただし、「蟻族」はあくまでも大学卒のインテリ大衆であり、同じく地方出身のワーキングプアといっても、「民工」や「農民工」といった下層労働者層とはまったく異なる存在だ。
 中国政府の政策により「知識社会」に備えるべく大量に設置された大学で学んだ若者たちであるが、しかし現実は彼らが夢見た姿とは大違いであった。労働需要を上回る大学卒業生供給の結果、北京のような大都市では、権力もコネももたない彼らが 職を見つけること自体が容易ではなく、たとえ仕事が見つかってもキャリアアップにはつながらないものばかりだ。「蟻族」としての生活を送ることを余儀なくされたかれらに共通するのは、そんなはずではなかったのにという思いからくる「剥奪感」。まさに「大学は出たけれど・・・」の状態だ。

 そもそも公的な統計データのないのが「大卒低所得群居集団」の世界である。アンケートによって収集したデータにもとづく定量分析と、ディープ・インタビューによる定性分析は、編著者たちが私費も投入して行った苦労の産物であるが、たとえ置かれている状況が大きく異なるとはいえ、「同じ中国人の同世代の若い研究者たちによる同世代の若者たちの調査」であったことが、好結果をもたらしたのであろう。
 とくに後者のインタビュー集「群居村取材レポート」は、等身大の若者たちのリアルを描きだして実に興味深い。隣の国の若者たちの姿を手に取るように理解できるのは、本書のもとになった調査がすぐれたものであるだけでなく、よみやすい日本語になるよう工夫をしているからだろう。

 副題にある「高学歴ワーキングプア」について、この表現は日本では文系の大学院以上の高学歴者が職を見つけられずにいる状態を表現するコトバとして作られたものだが、中国の現状はむしろ大学大衆化がもたらしたものであり、ニュアンスは大きく異なることに注意しておきたい。また、編著者は「日本の読者へ」のなかで、日本では自発的な選択である「フリーター」にあたるといっているが、これもまた実際とは大きく異なるように私には思われる。
 大学大衆化と大学院大衆化という違いはあるが、中国も日本もともに、経済政策と文教政策と労働政策がお互いチグハグなまま生み出された悲劇であるといえようか。日本以上に深い社会矛楯を抱えた中国であるが、「蟻族」たちは成熟社会に生きる日本の若者たちよりも、就学生として日本で働く中国人の若者たちに似て、むしろたくましく生き抜いているように思われるのだ。

 中国の若者たちの「いま」を知るうえで、遠藤誉による『中国動漫新人類−日本のアニメと漫画が中国を動かす−』(日経BP社、2008)と『拝金社会主義中国』(ちくま新書、2010)とあわせ読むことを薦めたい。多様な若者たちの姿を知ることによって、現代中国についてより深い理解が可能となることだろう。
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By まる・ち トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
 前半は「蟻族」の発生から、彼らの生態を統計データから解説・分析するレポートで、正直言って退屈だ。後半の個人への取材レポートの方がTV特番や週刊誌的な興味をそそる。
 一番印象的だったのは、「将来の国を背負って立つ我々が、こんな生活をしていて良いわけがない」という基本的な信条だ。個人の貧富というような視点ではないのだ。だからそういう当事者の年代が自ら取材してこの本を上梓した点は非常に意義深いと重う。それは国家教育によってもたらされた価値観かも知れないが、著者たちが「日本のフリーターとは違う」と言って、明確に区別する部分でもある。
 中国の高等教育の厳しさは古代からの「科挙」の流れを継いでいるのは明らかだ。それは同時に村や街の代表としてのエリートの存在を肯定しており、「故郷に錦を飾る」という感覚も健在のようだ。一方、国内での経済格差や戸籍の問題、さらに学校間格差などで実際にはガラスの天井がいくつもあるのも事実のようだ。
 何せ、人口の多い国である。蟻族該当者の人数は驚くほど多い。社会的な深刻さは人数に比例するだろうから、ある意味で国家的な危機である。
 なお蟻族にもなれず、格差にあえぐ人たちをレポートした「貧者を喰らう国」(阿古智子)も読めば、その危機の根深さが分かる。
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By tabopapa トップ1000レビュアー
日本と同様、中国においても大学教育が大衆化し全入時代になっている。本書は中国の高学歴低所得者の社会現象を蟻族として分析し、今後の中国社会の深層的な問題になる可能性を指摘している。その意味で本書の元になった調査は非常に意味のあるものであると評価できる。
本書を日本人として読んで、今後の中国の在り方を考える上で大事な指摘がなされていると評価すると共に、日本を含めた大衆化した大学教育の在り方を考えさせられた。大卒後の若年層の就職難は中国、日本に限らず、欧米でも深刻な問題になっている。蟻族と日本のフリーターとは似ているが違う様にそれぞれ問題の背景や様相は異なるのであろうが、実社会の要請と大学教育の在り方のギャップが共通の問題かもしれない。この様に考えると、本書は単なる中国の問題ではなく、われわれの社会の問題を考える上でも示唆するものが多い。
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