この作品では「しゃべり」が非常に自然です。大変新鮮な感じを受けたので、
「どんな風に原作をアレンジしてるのかな」と確かめてみたら、
なんと、一字一句、同じ! (わずかな単語か文が抜けたり、放送コード関連の改変程度)
文字で見て美しい言葉と、音で聴いて心地いい言葉は、普通かなり違う物なのに。
声優さんたちの職人芸ですね(特にギンコ役の中野さん)。
改めてよく聴くと、声に含ませる「色」「温度」「味」というか...その練り込みが凄い。
原作を大切にし、淡々とした調子も崩さずに、文字では伝わりきらない、
様々な感情や雰囲気に引き込んでくれます。声って、こんなに豊かなものなんですね。
「間合い」で素晴らしかったのは7話「雨がくる虹がたつ」。
虹を待つ虹郎に父の声が「あめがくる」と響く場面、
原作では一コマだけですが、そこをあえて8カットに分け、
同じセリフを、絶妙の間で鳥肌の立つシーンに仕上げています。
音響の方のお仕事も素晴らしいです。
「空間音」とも言うべき、聞こえない位の微かなノイズや周囲の物音まで、
ちゃんとその場面に応じたものが入ってます。音の響き方にも細かな工夫があります。
実際に戸外で録った自然音もかなり使われているようで、自分も旅している気分に。
3話「柔らかい角」での、音のこもる効果、消えて行く効果は絶品。
「こういう事だったんだ!」と物語の意味を実感出来ました。
話題になっている毎回ごとのオリジナル音楽も、物語にぴったりで優しい。
6話「露を吸う群れ」。花を吸ってしまう最も哀しい瞬間に、優しいメロディが流れる。
原作で読んだときの辛い印象が、これだけで救われました。
目からも耳からもウロコの落ちる作品です。
ぜひ、よい音響で微かな音までお楽しみください。