要するに金への欲にとりつかれた連中が走り回る小説である。
はっきり言って、それ以外の人間、いわゆる「まっとうな」人間
は登場しない。
こう書くとそれだけであるが、それが無類に面白い。
黒川さんの小説はどれもあまりはずれがなくて、安心感がある。
基本的に大阪弁での世界観が確立していて(ただし、黒川さんの
小説の大阪弁は、完成された「いかにもそれらしい」大阪弁であ
る。なみの作家にすぐに書けるものではない)安定して作品を書
けるからだろう。しかし、この作品はそれ以上にエンターテイン
メント小説を読む楽しみを存分に堪能させてくれる。
『疫病神』、『国境』につづく、桑原・二宮シリーズの一冊だ
が、それらを読んでいなくても読める。
他の方が書いているように、『国境』の方が面白かったという
のは分かるし、どっちを先に勧めるかと言えば、それは『疫病神』
から始めて、と言うだろう。けど、あんた、『疫病神』や『国境』
を読んで、その次にこれが出版されているのに、読まんといるこ
とができまっか?