このCDを初めて聴いた時の震えるほどの感動が忘れられない…ページェント86年の1st。ジェネシスの影響が強いシンフォニックなプログレだが二番煎じに留まらぬ、独特の美・悲哀・毒気・怖さに満ちた幻想の世界。永井博子のボーカルは素晴らしく、圧倒的な存在感。普遍性のある美しいメロディー。動と静を巧みに使い分けて鮮やかに情景を描き出すサウンド。特にハードロックと対置されたフルートの美しさにはうっとりしてしまう。
「螺鈿幻想」は暗く美しく悲劇的な歌・旋律と力強いサウンドがドラマチックに交錯。クライマックス、歌声が感動的に高まった瞬間にワルツのリズムで歌いだすメロディアスなギター、そこにフルートが絡みつき、ピアノとフルートの穏やかなラストシーンへ…という展開は何度聞いても惚れ惚れする。「ヴェクサシオン」は詩のストーリーに沿って声色を少女から大人へと変化させる演劇的な曲。鏡の中のもう一人の私…悲しく痛々しい詩世界。「木霊」はハードロック色が強くパワフル。魔物の住む暗い森に迷い込む。挿入されるわらべ歌のような歌声が不気味。「人形地獄」は奇怪な一人遊びにふける幼女、無邪気さゆえの残酷さ。「夜笑う」はデカダンで切ない名曲。悲壮感たっぷりにとうとうと歌い上げるボーカルから走り出す演奏。アコギ・ピアノを経てさえずりだす切なくロマンチックなフルートが本当に素敵で、それが湧き起こる歌声・ピアノとともに飛翔、続いてギターが泣く展開は非常にドラマチック。「セルロイドの空」はリーダー中嶋氏が歌うお遊びの曲…とは言え、無駄に大げさ演劇的な展開は聞き応えあり。焦る気持ちを表現した激しいキーボードから切り替わって現れる何とも優美なフルートにはウルッとしてしまう。「エピローグ」は心に染みるフルート、落ち着いたバンドサウンドにジワーっと充溢していった情念がボーカルの高揚とともにあふれ出す。ギターソロはあまりに切なくて泣ける!