「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」を初めて詠んだとき、眼が潤み、強い衝撃を受けました。愛する人に触れたいのに触れることできない悲しさ、つらさ、愛する人を残してあの世に逝ってしまう苦しさが身に染みました。どんなにか切なかったことか。
想像を絶するに余りあり‥という思いが致しました。
さらに残してゆく者に対する「のちの日々をながく生きてほしさびしさがさびしさを消しくるるまで」は、「私」に会えないつらい日々に耐え、いつかそのことを従容と受け入れられる日まで長く生きてほしいという心からの願いであると受け止めました。
ご自分の生きた証として短歌を40年詠んだという河野裕子さん。
その生きざまが伝わる「蝉声」に心打たれ、私も短歌の世界に触れてみたいとしみじみ思っているところです。