つい先日、東北地方限定でこのドラマをほどよく再編集したものが、3週にわたり総合テレビで放映されました。全編じっくりと見て、なるほどこれは「金賞」(ゴールドニンフ賞・最優秀賞)に値するドラマだと心底思いました。これの映画版の評判はいまいちのようで、私は映画は見ていませんが、何となくキャスティングの印象からしても「ドラマ版は映画の比でなく素晴らしい」とされる訳が分かるような気がします。
このドラマを構成する、珠玉ともいえる幾つかのテーマ・・・心清く誠実に、人を大切にすれば、めぐりめぐって必ず味方がつき助けられるという道理。悪徳家老に少しも諂わず「お黙りあれ!」と一喝し「もうご家老の評定が行われておりますぞ」と最後通牒を突きつける、いかにも藤沢作品らしいと言われる胸のすく痛快さ! そして何といっても、運命に逆らえず結ばれないと知りながらも、はかない蝉の生命に載せて互いに生涯の思いを遂げようとする二人の恋。どれも気持ちよく、力強く、また何と美しく描いているものかと感慨を深くします。内野さんや脇を固める俳優さん方のキャスティングの適格さ・演技力はもちろん、少年少女役も自然でとても良い。特に、お福の子役は「よくこれほど似た子を当ててくれたもの」と感心いたしました。ラストで、前藩主側室と郡奉行の身分を超え、昔のように「ふく」と呼びかけ身を寄せ合うシーンは、正に最後を飾る美と感動の場面です(私個人的には「こういう場面を見せてもらいたかった!」を叶えてくれた、との思い)。
回顧形式に異を唱える方もいますが、所々に現在の場面を入れて心情を明かすことで、ストーリーの流れやそれぞれの回顧場面へ解説効果があり、見る人誰もがよく分かるという作りになる点で、私はこれで良いと考えます。まさしくドラマ史に残る名作ではないでしょうか。