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蜻蛉始末 (文春文庫)
 
 

蜻蛉始末 (文春文庫) [文庫]

北森 鴻
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

明治12年、政商藤田傳三郎は贋札事件の容疑で捕縛された。維新前後の激動の世で、宿命を負った二人の男の友情と別離、対決を描く
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

明治十二年、政商・藤田伝三郎は贋札事件の容疑者として捕縛された。その十七年前、高杉晋作の元に集まる志士たちの中に伝三郎がいた。幼馴染みの“とんぼ”宇三郎が影のように寄り添う。奇兵隊結成、禁門の変…幕末から明治にかけての激動の世の中で「光」と「影」の宿命を負った二人の友情と別離、対決を描く傑作歴史長篇。

登録情報

  • 文庫: 442ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2004/08)
  • ISBN-10: 4167679205
  • ISBN-13: 978-4167679200
  • 発売日: 2004/08
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 311,249位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
 本書の前半は、藤田傳三郎の視点で読んでいった。ところが話の中盤から、“とんぼ”宇三郎が俄然生彩を帯びてきて、読み終えてみれば、これは傳三郎ではなく宇三郎が主役の話だったのではないか、そう思えて仕方なかった。

 幕末から明治初頭にかけて、政商として活躍した藤田傳三郎と、彼の忠実な“影”として生きた“とんぼ”宇三郎、このふたりの運命が交錯し、変転する様を描き出して行く話である。長州藩の萩で暮らしていた頃は、傳三郎が“主”で、宇三郎は“従”でしかなかった。しかし、傳三郎が時代の大きなうねりのなかで翻弄され、深刻な挫折を経験するうちに、宇三郎の存在が次第に増してくる。傳三郎を心から慕う宇三郎が“影”としての呪縛から次第に解き放たれていくところ、そこに話の一番の妙味を感じた。

 歴史上の人物が、実名で出てくるところにも興味を惹かれた。幕末に長州藩で奇兵隊を組織するなどして活躍した高杉晋作、明治初頭に起きた「尾去沢銅山払い下げ汚職事件」で悪名を馳せた井上馨のふたりの人物の描写が印象的。とは言え、本書でスポットライトが当たっていたのは藤田傳三郎であり、それ以上の輝きを持って描き出されていたのは、傳三郎の“影”として生きた宇三郎であったと思う。

 宿命的な繋がりを持って、幕末から明治にかけての激動の時代を生きたふたりの男の物語『蜻蛉始末』。ぐいと心を掴んで引き込んでいく小説の力があり、存分の読みごたえを感じた。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 風舞
形式:文庫
幕末から明治にかけて活躍した、政商藤田傳三郎の生涯を描く歴史小説。傳三郎とともに生きた「トンボ」こと宇三郎との相克を通して描かれる、幕末・明治という時代。藤田組贋札事件を素材に、人の、そして時代の「光」と「影」を見つめる。

明治の実際の事件、藤田組贋札事件を素材にした歴史小説。そこに自由な推理の翼を広げる。明治期に活躍した人々が一個の個人として、躍動感を持って動き出す。
そんな中でトンボの思った「食われてしもうたんじゃ」という言葉は、作品全体を象徴するようでとても面白い。
光と影が幾重にも重なり合い、それぞれの人間模様を照らし出す。

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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
主人公は藤田傳三郎。
商人でありながら、奇兵隊の一人として幕末維新を駆け抜けた男。
というよりは、のちに大財閥・藤田組を一代で築き上げ明治の経済界を牽引した男である。
実際の傳三郎には、財閥を軌道に乗せるまでの行動に語られていない部分が多い。
その傳三郎の半生を、彼が巻き込まれた明治初期の大経済事件である「藤田組贋札事件」を主軸に、
幼馴染の宇三郎の友情と対立を横軸に描いだ力作。

導入部からぐいぐいと引きずり込まれる。
偽札事件の容疑者として逮捕された傳三郎の回想は、高杉晋作たちと攘夷を目指した時代に飛ぶ。
久坂玄随、井上馨、山県有朋などの人物と絡みながら、幕末維新から明治初期まで二人の行動を描く。
そして史実で未解明な部分を著者が得意の推理で明確にする。
友情と憎悪の結末、最後に明かされる意外な偽札事件の真相。
ミステリー作家らしい、歴史の謎解きの快感に満ち溢れ、同時に見事な人間ドラマとなった小説である。

著者にはもっと歴史小説を書いてほしかった、何回読んでもそう思わずにはいられない。
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