蜷川さんの演劇関係の書籍は今までもいろいろ拝読してきましたが、
この「蜷川幸雄の稽古場」がいいなと思うのは、蜷川さんが近年起用してきた若手俳優たち10人のインタビューから、蜷川さんの素晴らしい舞台がどうやって生み出されていくのか、、、という風景がいきいきと立ち上がってくることです。
インタビューでは、各俳優が蜷川さんの稽古で、どんな経験(苦労?)をし、どう成長をしたかが語られていて、以前見たあの舞台はこういう稽古を経て作られていたのか!この俳優さんの今があるのは、こういう修羅場を突き抜けてきたからなのか!だけでなく、けっこうオフレコのエピソードの紹介もあり、さらには、各俳優さんと蜷川さんとの人間関係まで垣間見え、非常に読み応えがあります。
以前から、お芝居のカタログで、出演者らが「蜷川さんの稽古場が半端でなく楽しい!」っておっしゃっていた意味が理解できます。
巻末の演劇関係者2人によるエッセイも、長い年月、蜷川さんの稽古場を見てき立場から、客観的なコメントを補足していてうれしいし、カラーグラビアの蜷川実花さんの写真では、お孫さんの手を引く蜷川さんのプライベートなお姿も紹介されていて、「灰皿を飛ばす鬼の演出家」という噂とはぜんぜん違うお顔、厳しい面の裏にあるあたたかさを感じられるところもいいです。
あえて、希望を言わせていただけるのなら、今回は「若手」ということでU-38の俳優に限られていますが、出来ればもう少し上の世代の俳優の方々のインタビューもほしいところ、、、野村萬斎さん、勝村政信さん、吉田鋼太郎さん、白石加代子さんなどのベテランの方々のインタビューもあったら、どんなに嬉しいことでしょうか!
いづれにせよ、読後の感覚が、あったかなのは、演劇が好きで、蜷川さんの作り出す世界に共感している人たちの熱い気持ちが集まってできた本だからかと思いました。
インタビューに登場する俳優さんらのファンの方たちにも、演劇ファンの方たちにも、ご一読をお勧めします。