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語られる6作の映画には実在するものも含まれるが、いわゆる”名画”はない。それらが囚人の言葉になると、珠玉の作品のように輝く。文章で読みながらも、文章表現であることが信じられないほどの像を結ぶ。閉ざされた監房に、異国の風、妙なる歌声、美しいロマンス、を運んでくる。二人の囚人たちの心理的距離も徐々に縮まり、束の間、重なったかと思われるが・・・。
一方、甘美な映画とは対照的に、小説の中でさえアルゼンチンの現実は甘くない。政治囚に対する当局の執念は凄まじい。それに伴う緊張感も並ではない。
結末のインパクトのために全てがある、といった類とは一線を画し、この作品には美しいディテールに加えて、一流のサスペンスがある。やるせなく重い「ハッピーエンドの夢」は、作者の人間理解を示すようだ。人と人とがわかり合うとは、錯覚なのか、奇跡なのか。夢は余韻を残す。
そのコントラスト、交差し溶け合った糸がお互いの色を交えながらまた二つに分かれて行く様を、会話で…!?いや寧ろ、会話でなければならなかったか?
淡々と語られ、当然というように静かに終わるが、読んでるこっちも蜘蛛の糸に絡め取られて、なかなか抜け出せないのよね…。
年齢設定からしてリアルなゲイの話が、ここまで幻想的に美しく響くとはなあ。静かなのに全然飽きないし。
静かなる名作の求心力、凄いですな。
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