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蛍の航跡―軍医たちの黙示録
 
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蛍の航跡―軍医たちの黙示録 [単行本]

帚木 蓬生
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

当然の飢餓、沈みゆく艦船、銃撃の中での手術。人を生かすために全力を尽くせども、ただ無力さを思い知らされるだけ―精神鑑定をし、出産を手伝い、密林を逃げ惑い、抑留され、邂逅にむせび、マラリアに脅え、枕元に手榴弾を置く―フィリピン、ビルマ、ニューギニア、ラバウル、シベリア―十五人の若き軍医が故郷から遠く離れた戦地で触れた「あの戦争」の無情なる深層。戦争文学の比類なき到達点。現役医師の著者、入魂の「戦争黙示録」ここに完結。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

帚木 蓬生
1947年、福岡県生れ。東京大学仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、現在は精神科医。1979年に『白い夏の墓標』を発表し直木賞候補となった。『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞、『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、『逃亡』で柴田錬三郎賞、『水神』で新田次郎文学賞、『ソルハ』で小学館児童出版文化賞など数多くの文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 547ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/11)
  • ISBN-10: 4103314206
  • ISBN-13: 978-4103314202
  • 発売日: 2011/11
  • 商品の寸法: 19.4 x 14.2 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 前篇の「蝿の帝国」と合わせると相当な量ですが、一般書で軍医の組織、勤務(従軍)状況がここまで描かれた本は記憶にありません。実体験として語れる年齢の方は90歳を超えつつあり、完全な過去になる前にまとめ、悲惨な過去を風化させないことは重要でしょう。今年、震災で災害医療が注目されましたが、戦場での診療は災害医療の一つの極北です(英文の災害医療教科書では当然のように戦時医療とテロ対応が載っています)。この本の各挿話のようなことを繰り返さないために、特に医療関係者では震災時の実体験に引き寄せて考える読み方も想像力としてはありうるかもしれません。
 なお、現在でも一部国立病院や公的病院には旧軍所管病院が起源のところがあります。現役勤務医も一読して損はないでしょう。やや専門的ですが、実戦を知らない大部分の現役医師向けに、旧軍医療の組織体系が概説されてもよかったかもしれません。この作家の筆力をもってすれば、役得と理不尽さを公平に俯瞰して頂ける気がします。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 太平洋戦争時の軍医の手記を元に創作した短編集で、
前作『蠅の帝国』の姉妹編にあたるものです。読み終え
て、「帚木蓬生の最高傑作」(縄田一男『埼玉新聞』)「克
明な記録として、大きな価値がある」(村上陽一郎『毎
日新聞』)など、各種書評が激賞するのもむべなるかな
と思いました。中身の紹介は、著者の「あとがき」の末
尾の一節を引いて換えます。
 「戦争の実相とは、つまるところ、傷つきながら地を這
う将兵と逃げまどう住民、そして累々と横たわる屍では
ないだろうか。軍医はその前で立ちすくみ、医療に死力
をふりしぼりながら、ついには将兵や住民と運命を共に
したのだ。」
 わたしは、独立宣言後までインドネシアで翻弄される
軍医の運命を描いた「アモック」に、何より圧倒されまし
た。最後に、「抵命」でインパール作戦での無断退却を
問われた佐藤中将のその後を黒羽清隆『太平洋戦争
の歴史』下 1985により追記しておきます。
 「ジャワにとばされたが、そののち、日本に帰り、1961
<昭和36>年2月26日―皇道派系の牟田口中将をそれ
ゆえににくんだかれにとって、象徴的な日である―に肝
硬変で死去した。67歳であった。遺族のもとには、400
字で300枚近い回想録が残され、さきの(高木俊明)『抗
命』で随所に用いられていて、防衛庁戦史の佐藤中将
非難と一つのコントラストを形成している。」
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
現代的な意味 2012/3/19
By tabopapa トップ1000レビュアー
現代の戦争は戦場の様子も違うといわれている。確かに空海軍及びハイテック軍備の戦争は、陸軍・人海戦術中心の戦争とは違うかもしれない。しかし本書で書かれている戦場の現実は決して忘れられてはいけない。
いろんな戦記が書かれてきたが、軍医の立場からしかも最前線の立つ軍医の立場から書かれたものは、今までにあまり見かけたことが無かった。軍人であり医者である軍医は、現場での悲惨な状況に置かれどの様に活動したのか。本書に書かれているのは、日本軍が敗北する過程のものが中心であり、その軍医の役割も限定にならざるを得なかった状況である。しかし日本軍がまだ侵攻している段階では、軍医が反医療行為を行ったことも事実である。本来国際法では医療関係者は攻撃されたりしない存在であるが、現実には功罪こもごもいろんな役割に従事せざるを得なかった。
戦争をゲーム的な感覚でしか捉えられない世代には是非読んでもらい戦記文学の一つになると思う。
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