夏のお話しです。夏休みに合宿をする少女達。
私は、冬真っ只中にこの作品を読みました。
冬なのに、夏の情景が、夏の匂いが、夏の暑さが、夏の光が
ぶわーっと、私に迫ってきました。冬だからこそ、だったのか
もしれません。かつて少女だったことのある私はこの作品を、
懐かしい気持ちで読みました。その懐かしむ気持ちと、
夏を思う気持ちが何となく似ていたのかもしれません。
文章や会話のひとつひとつが、丁寧に選ばれた言葉で、丁寧に積み重
ねられています。その積み重ねによって、「少女」が描かれています。
「少女から大人になる一瞬」について書かれた作品をたくさん読んで
きたはずなのですが、これ程自然にすんなり自分の中にはいってくる
ことは、今までになかったです。少女特有の目線・葛藤・感情・決意、
どれもに静かに納得し、懐かしさを感じました。
ミステリー部分はこれらのことを表現する「手段」に過ぎないような気すら
します。
素敵な本です。
本を閉じてなお、作品の香りがほどよくまとわりつきます。