小説すばる新人賞受賞作。
この一句に惹かれて日ごろ読まないタイプの作品に食指を動かしてみた。
そして痛感した。
私には合わない。
アクション主体で展開が速い昨今のエンターテインメントとしてはこれが普通なのかもしれない。
しかし恐ろしく改行が多い。文面のあまりの白さに思わず字数を数えてしまったが、頁あたり44字×20行のなかに下手をすると一行たりとて下まで続いている行がない。
蛇のぶつ切りのようである。
初っ端から文体についての酷評ばかり連ねたが、筋立てそのものは好みの範疇だった。瀕死の巫女から「わが子に殺される」と予言を受けた専制君主が子殺しを命じるも子はひそかに逃されていて、というこの原型的な展開! 古典的な展開は私は嫌いではない。が、これだけ古典的な筋立てを採用するなら「予言」には下手な理屈をつけずに存在してもらいたかった。作中人物のだれの意思をも超えて成就してしまう予言、すなわち人智を超えた何かのおぼろげな気配である。キャラクタについては、結局どれがメインだったのか今ひとつ分からなかった点と、タイトルとなっている「蛇衆」と呼ばれる傭兵連中の思考が妙に現代人的な点に不満を覚えた。全体に不満ばかりになってしまったがこれは好みの問題である。好きな方にはきっと楽しめる娯楽作品なのだろう。