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ピアッシングや刺青などの身体改造を題材に、現代の若者の心に潜む不気味な影と深い悲しみを、大胆な筆致で捉えた問題作である。埋め込んだピアスのサイズを大きくしていきながら、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン。迫力に満ちた描写の一方で、それを他人ごとのように冷めた視線で眺めている主人公の姿が印象的だ。第130回芥川賞受賞作品。
顔面にピアスを刺し、龍の刺青を入れたパンク男、アマと知り合った19歳のルイ。アマの二股の舌に興味を抱いたルイは、シバという男の店で、躊躇(ちゅうちょ)なく自分の舌にもピアスを入れる。それを期に、何かに押されるかのように身体改造へとのめり込み、シバとも関係を持つルイ。たが、過去にアマが殴り倒したチンピラの死亡記事を見つけたことで、ルイは言いようのない不安に襲われはじめる。
本書を読み進めるのは、ある意味、苦痛を伴う行為だ。身体改造という自虐的な行動を通じて、肉体の痛み、ひいては精神の痛みを喚起させる筆力に、読み手は圧倒されるに違いない。自らの血を流すことを忌避し、それゆえに他者の痛みに対する想像力を欠落しつつある現代社会において、本書の果たす文学的役割は、特筆に価するものといえよう。弱冠20歳での芥川賞受賞、若者の過激な生態や風俗といった派手な要素に目を奪われがちではあるが、「未来にも、刺青にも、スプリットタンにも、意味なんてない」と言い切るルイの言葉から垣間見えるのは、真正面から文学と向き合おうとする真摯なまでの著者の姿である。(中島正敏) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
商品の説明
第130回(平成15年度下半期) 芥川賞受賞
第27回(2003年) すばる文学賞受賞
第27回(2003年) すばる文学賞受賞
出版社/著者からの内容紹介
第27回すばる文学賞、第130回芥川賞W受賞作!
蛇のように舌を二つに割るスプリットタンに魅せられたルイは舌ピアスを入れ身体改造にのめり込む。恋人アマとサディスティックな刺青師シバさんとの間で揺れる心はやがて…。(解説・村上 龍)
蛇のように舌を二つに割るスプリットタンに魅せられたルイは舌ピアスを入れ身体改造にのめり込む。恋人アマとサディスティックな刺青師シバさんとの間で揺れる心はやがて…。(解説・村上 龍)
内容(「BOOK」データベースより)
「スプリットタンって知ってる?」そう言って、男は蛇のように二つに割れた舌を出した―。その男アマと同棲しながらサディストの彫り師シバとも関係をもつルイ。彼女は自らも舌にピアスを入れ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていく。痛みと快楽、暴力と死、激しい愛と絶望。今を生きる者たちの生の本質を鮮烈に描き、すばる文学賞と芥川賞を受賞した、金原ひとみの衝撃のデビュー作。
内容(「MARC」データベースより)
ピアスの拡張にハマっていたギャル系コンパニオンのルイは、「スプリットタン」という2つに分かれた舌を持つ男、アマと出会う。やがてアマが行方不明となり、死体で発見される。第27回すばる文学賞受賞作。
--このテキストは、
単行本
版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
金原 ひとみ
1983年生まれ。2003年「蛇にピアス」で第二七回すばる文学賞を受賞し、デビュー。04年に第一三〇回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1983年生まれ。2003年「蛇にピアス」で第二七回すばる文学賞を受賞し、デビュー。04年に第一三〇回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)